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アベノミクスの限界

  • 2016年12月12日

 安倍晋三の1丁目1番地の政策は「経済再生」であり、そのために訳の分からない「アベノミクス」なる造語を作り、国民に「三本の矢」として「大胆な金融緩和」、「機動的な財政出動」、「民間投資を喚起させる成長戦略」を打ち出しました。

 その結果、「大胆な金融緩和」では、黒田バズーガと言われる異次元の金融緩和はその効果を生まず、2%を目標としたインフレ、物価上昇は達成時期を5度も延期し、未だに先が見えていません。

 その間、国債を再現なく買い占め、未だ経験したことのないゼロ金利まで導入しましたが、消費に結びつかず、企業や個人消費者の借り入れも予想を遙かに下回りました。

 また「機動的な財政出動」は、数度にわたる補正予算で公共事業を中心とした景気対策を行ってきましたが、資機材の高騰や人材不足が足かせになり工事価格が上昇、民間主導による経済対策は一時的には効果が現れましたが、長続きはしませんでした。

 労働者の賃金においても、労使交渉にまで政府が介入し、「政労使」などと言う珍妙な賃金交渉スタイルが現れたのは、政府が介入しなければ賃金も上昇しない、消費が上向かないという焦りからであり、3.5兆円以上にも及ぶ財政出動はほとんど無駄な支出となり、財政規律を守ると言いながら財政規律を考慮せず、国の借金は1,000兆円を優に超えてしまい、このままでは後10年もすれば借金が1,500兆円を越えるという可能性を示唆する専門家の声も多くなってきています。

 さらに、「民間投資を喚起させる成長戦略」では、規制緩和、企業の税制優遇、公共部門の民営化、TPP等を打ち出しました。

 規制緩和では、「国家戦略特区」や「岩盤規制の緩和」として取り組みましたが、国家戦略特区は些末なものしか取り組むことが出来ず、今では、何処がどんな特区になっているのかさえも判りません。

 岩盤規制は、労働規制だけではなく既得権域にも及び、農協改革や医療制度などに着手、既存の制度バランスが崩れることも厭わない強引な手法を用いて進め、産業ごとに困惑の度が濃くなってきていますし、成長戦略の最後の砦のTPPはご存じの通りです。

 企業の税制優遇だけは経済界の機嫌を取ることに成功し、様々な減税を行ってきた結果、経済4団体だけではなく、銀行を含む金融機関まで自民党に多額の企業献金をしています。

 民間投資は、GPIF(年金基金運用機構)がその運用を国債から国内、海外株に転換し、国が企業の株を買う事により個人投資家などが安心して投資し、株価が上がっていますし、円安により為替も高止まりですが、そのために年金基金に10兆円以上の穴を開けてしまったのは周知の事実ですし、為替の乱高下で輸出産業は一喜一憂の状態です。

 そして、これらのことを推進するために、教育、福祉、医療、介護を含むあらゆる社会補償制度を犠牲にし、財政再建を投げ出してしまいました。

 そして、それを「道半ば」と言って新たに「新三本の矢」を打ち出し、①2020年までに「名目GDPを600兆円」にする②2020年代初頭に「希望出生率を1.8」にする③2020年代半ばに「介護離職ゼロ」にするという目標を掲げました。

 そして、「地方創生」「一億総活躍社会の実現」「女性の社会進出」、などをキャッチフレーズにし、担当大臣のポストまで作りましたが、地方創生はかけ声倒れ、1億総活躍社会は高齢者のもっと働けと言うことがバレバレ、女性の社会進出も足りない労働力を補うためという魂胆がミエミエのものです。

 ①は2020年まで名目成長率が毎年3%という前提ですが、内閣府の試算でも成長率が0.5%なのに、どうやって達成するのでしょう。民間の研究機関もすでに達成は困難と見ています。

 ②は、保育所も足りず、教育費は高騰し、学校を卒業しても正社員になれない状況で子どもを作れる環境にはなっていませんし、配偶者控除に手を付けても、それで女性がの社会進出が進むとは言えません。

 ③は、2020年代初頭には、団塊の世代が一斉に後期高齢者に突入する事になり、介護施設や介護サービスなどの受け皿が完備しない以上、介護離職は増大することは明らかです。

 以上の通り、アベノミクスは結果も残せずに限界にきているのは誰の目にも明らかではないでしょうか。往生際が悪いのは安倍晋三とその取り巻きだけのようです。


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