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今更カジノ基本方針?

  • 2020年12月19日

 菅内閣は18日、全閣僚で構成する「特定複合観光施設区域整備推進本部(カジノ推進本部)」を開催し、改めて「基本方針」を決定しました。

 政府は昨年9月に「基本方針(案)」を公表していましたが、その後、秋元司衆議院議員(元IR担当内閣府副大臣)と中国のカジノ事業者との黒い癒着、そして逮捕される汚職事件が発覚し、国民の関心を集めたことから、政府は「ほとぼりが冷めるのを待って」と目論んでいました。しかし、年明けと供に新型コロナウィルス感染症の拡大で国境を越えた移動が困難となり、世界のカジノ事業が大きなダメージを受けました。

 菅氏は、今回の基本方針決定に際し、「我が国を観光先進国としていくための重要な取り組み。必要な準備を着実に進めていく。」と話し、今、ここに至ってもカジノのに固執しています。

 5月15日のブログを再掲します、<米国大手のカジノ業者である「ラズベガス・サンズ」が5月12日、日本でのカジノを含むIR事業の進出を断念すると発表しました。

 アデルソン最高経営責任者(CEO)が、「日本におけるIR開発の枠組みでは私たちの目標達成は困難である。」、「今後は日本以外での成長機会に注力する。」と声明を発表、横浜や大阪に触手を伸ばしていたカジノの最有力事業者が断念したことは、他の候補地に現地事務所を置いて誘致活動を行っている他のカジノ事業者にも少なからずの影響を与えるものと思います。>。さらに、<コロナ禍により、ホテルや全てのエンターティメント、そしてMICEなどが世界的に苦境にある中、世界にカジノを展開しているサンズの施設も閉鎖に追い込まれるなど、収益悪化が増大し、新たに日本に100億ドル(約1兆700億円)もの投資を行う余裕など無くなっているのが正直なところのようです。

 「コロナ以前」のような経済に戻るには、相当の年月が必要となると多くの経済専門家が話しているように、まずは、コロナによる大企業や中小企業、そして小規模事業所や個人事業者が被ったダメージをどのように回復するのか、また、外出自粛や休業要請の影響などで職を失った方々の雇用をどの様に再構築していくか、このことに全精力を投入しなければならないでしょう。>と掲載しましたが、5月時点より感染状態は悪化の一途を辿り、今は、再度「緊急事態宣言」を発出しなければならないのではないかという感染状況でとなっています。

 また、5月22日のブログも再掲します、<さて、新聞赤旗に掲載されたいました静岡大学国際金融論・鳥畑与一教授のインタビュー記事から、コロナとカジノについて抜粋してみました。

 それによると、

 【米国】

 ラスベガスの46施設始め全米にある商業カジノ、先住民族の経済的支援のために許可されたインディアンカジノ989施設全てが4月まで営業停止、再開は規模の小さな17施設のみ。市場として再開の見込みは立っておらず、年間収益(客の負け分)約8兆円の巨大市場が突然消えてしまった。

  米国カジノ監督機関は、今後、ソーシャル・ディスタンスを行っても高収入を挙げることはもう無理だとの見解。

 【マカオ】

 米国のラスベガスサンス、MGM、ウィン、地元資本のSJM メルコ、ギャラクシーの6者が、IRカジノ41施設を開き年間約4兆円を売り上げるが、コロナ感染拡大で2月5日~15日間営業停止、その後、20日から一部施設を再開したが、海外客の入境制限が続き、閑散とした状態が続き、2月は9割減、3月は8割減、4月は97%減で客足は戻らず。

 【シンガポール】

 米国のラスベガスサンズ、マレーシア資本のゲンティンが運営する2カ所の巨大IRが有り、日本のIRカジノ構想の「手本」とされるが4月7日から営業停止。

 【アジア・オセアニア】

 韓国、フィリピン、カンボジア、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、サイパン、インド、ネパールなど、全てのカジノが閉鎖。

 【ヨーロッパ・その他】

 各国でカジノ施設の一斉閉鎖。

 となっており、この状態は1年、2年と続き、仮にワクチンが開発されても世界はこうしたパンデミックが繰り返される危険性を抱え込んだわけで、カジノ成長性は失われたと思われます。

 一方、大きな施設での「ランドカジノ」から世界的には「オンラインカジノ」が成長しており、ヨーロッパゲーミング協会のデーターでもギャンブル業界全体のシェアーでオンラインが13%~16%に増え、カジノ市場がオンラインに流れ込む動きが加速されています。

 巨大な施設に1兆円もの経費をかけて大量に客を集め、その客をカジノに誘導し、巨額の利益を上げるIRというビジネスモデルは終焉を迎え、日本に進出しようとしているカジノ企業もコロナの影響で軒並みゼロ収入、営業赤字がかさみ手元資金が枯渇する恐れもでてきており、日本への進出は体力を消耗するだけとなっています。

 成長性の無くなったカジノに、日本の成長戦略を求めるというのは、いかがなものでしょうか。>  少し長くなりましたが、これが、5月の段階の実態でした。

 ワクチンが開発され、世界中の大手薬品企業が覇を競っていますが、それでも、日本中にワクチンが供給されるまで時間がかかり、世界中を展望するといつになったら自由な往来が可能になるのか予想もつきません。

 カジノによって世界中から富裕層を集め、その収益をもってホテルや展示場、国際会議場などの巨大施設を運営するという構想はコロナ以前の戦略であり、今となっては過去の戦略となったのではないでしょうか。


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