北方4島への外国人ツアー
- 2019年12月10日
今日の道新に「択捉に中韓の観光業者ら~サハリン州がツアー」という囲み記事が掲載されました。
内容は、「北方領土を事実上管轄するロシア・サハリン州政府が、6日に択捉島で観光業者などを対象としたもモデルツアーを実施し、中国や韓国、台湾、フランス、インドなどの関係者を案内していたことが9日判った。」となっています。
北方四島への観光事業については、日ロによる共同経済活動の一環として、「漁業、海面養殖、観光、医療、環境その他の分野」を対象に3,000億円の予算を組み、平和条約締結交渉に関する日ロの立場を害さない「特別な制度」の下での北方四島における共同経済活動の一環として協議を進め、つい先日、日本がツアー客を募集しました。
このツアーは、当初、ロシア側の受け入れ体制が整わないなどの理由で延期されてしまいましたが、その後、旅程を短くして催行されました。
参加者からは、また訪れたいとか、宿泊する施設の問題などが出されましたが、おおむね評判は良く、日ロ共同経済活動の目玉として今後も継続することを前提に協議を継続することになっていました。
そうこうしている内に、したたかなロシアは日本以外の国へのアプローチを始めたようです。
日本の観光団におおむね好評だったことを受け止め、「特別な制度」などの面倒くさい日本などを相手にせず、ビザに支障の無い他国の観光客にシフトするなどは、日本が想定していないことだったと思います。
他国を相手にした観光事業が推進されることになれば、日ロ共同経済活動の重要な取り組みが意味をなさないものになるでしょう。
日本政府は、許可無しに外国人の4島立ち入りを認めない立場を取っていますが、これもなし崩しになってしまいます。
もっとも、既に択捉島には韓国や東南アジアからの作業員が入島していますし、北欧からの観光客も船舶などで訪れています。
観光事業開発のお手伝いをし、その結果、美味しいところだけを食べられ、平和条約締結交渉への露払いにもならないのでは、政府は国民にどのように説明するのでしょう。
付け焼き刃な外交政策がまたもや露呈してしまいました。