自衛隊の中東派遣
- 2019年10月20日
政府の誤魔化しが日常茶飯事になって久しいですが、いつまでも弥縫策(びぼうさく=一時的につくろって間に合わせる策)ばかり続けていては、いづれボロが出てしまいます。 政府は自衛隊の中東派遣を決めたようですが、これも米国が求めている有志国連合(艦隊)派遣と、これに相対する友好国のイランとの間に挟まり、どちらにもいい顔をするという、正に弥縫策に他なりません。
自衛隊を派遣するには、その派遣先の状況により自衛隊がどのような行動を行うかによって政府の対応が変わってきます。
従って、今回は、ホルムズ海峡における安全について調査・研究するための、防衛省設置法に基づく「調査・研究活動」をその派遣根拠にしています。
しかし、現地はイラン革命防衛隊やイエメン反政府武装組織フーシ派と見られるミサイル攻撃で、タンカーが攻撃された事件があったばかりの場所であり、いつ、どのような状況で戦闘に巻き込まれるかは定かではありません。
そうなった場合には、「正当防衛・緊急避難行動」として、防衛省設置法ではなく自衛隊法による「海上警備行動」に切り替えなければならず、限定された武器の使用が認められますが、これは、海上での人命・財産保護や治安維持に関わる事案において、警察権の範囲で行われるものと限定されています。
そして、この種の派遣で自衛隊員に犠牲者が出た場合の対応について政府は何も決めていません。
安保法案による集団的自衛権の行使の議論の時も、自衛隊員の犠牲者に対する保障について、問題意識は有りましたが具体的な対応は決定しておらず、この間、派遣だけが先行しています。
このため、自衛隊幹部も隊員の安全確保や緊急事態への対応が現地部隊任せになることを懸念し、その責任の所在へ対する不安の声も上がっています。
あちらにもこちらにもいい顔をして体裁を繕う八方美人的な外交の結果、割を食うのはいつも関係する国民だけではないでしょうか。