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「非正規公務員制度」の立法を(ブログ3832)

  • 2025年02月11日

 労働関係の相談を受け持つ全国の弁護士で構成されている「日本労働弁護団」が「非正規公務員制度立法の提言」を学習する集会を開催し、弁護団が提案する法律案について、その理由と法律制定の必要性について説明されたことが「週刊金曜日」に掲載されていました。

 とりわけ、官製ワーキングプアと呼ばれている「会計年度任用職員」は、学校、図書館、保育所、消費者問題やDV等の相談業務など、期限の区別の無い常用の行政業務に就いている方が多く、その数は全国で約66万人とも言われており、臨時・非常勤職員の約9割を占めていますが、5年で契約は打ち切られ、再任用を求める場合には行政に申請し審査を受けなければならず、労働行政の面からもかなり問題であり、弁護団の主張する立法は当然と思います。

 週刊金曜日の記事を1部再掲します。

<提言の中心は「入り口規制」、「無期転換」、「雇い止め制限」、「均等均衝待遇」の4つ。

◆入り口規制:会計年度任用職員(会計年度に終了する職務に限って任用する職員)の業務は、単年度内に完結する性質でないものも多く、言葉通り、次年度も続く業務にあたるものを会計年度任用とするのは相応しくない。単純なロジックであると説明。

◆無期転換:会計年度任用職員は、任用が通算5年を超え、本人が申請すれば審査の上「期限の定めのない非常勤職員になれるが、民間では労働契約法18条の通称「無期転換ルール」が定められている。しかし、自治体で働く非常勤職員にはこのルールがない。

提言はこれについて、「制度の濫用が定型的に確認出来る」、「無期転換権を認めるべきである」と指摘。

◆雇い止め制限:民間では、労働契約法19条に「雇い止めの法理」が定められ、労働者の無期転換権取得を妨げることを禁じている。提言は任命権者に対し、本人の申請があれば継続任用するように義務づけることを求める。この改正が実現されれば会計年度任用職員の最も大きな不安が解消される。

◆均等均衝待遇:(給与その他の勤務条件に不合理な相違を設けない)

非正規公務員の低収入においては「官製ワーキングプア」と呼ばれる実態がある。提言は職員の給与は職務と責任に応じたもので有るべきで、「不合理と認められる相違を設けてはならない」とする。また、現状では同じ会計年度任用職員の中でもフルタイムとパートタイムとの間に手当の支給に差が設けられている。こうした格差も是正されるべきであると提言。>

 さて、これらの提言が立法されれば、会計年度任用職員の方々の不安を解決する大きな制度となることだと思います。

 これまで、会計年度任用職員の方々は夏期・冬期の手当て(ボーナス)も支給されていませんでしたが、やっと人事院が手当支給を認めました。しかし、これとて各自治体が「支給することを可能とする」とのことで、自治体の裁量で支給が決められるものです。

 自治体は財政難のところが多く、そのために正規職員の採用を押さえて会計年度任用職員でその穴埋めをしているのが現状ですし、ボーナスも正規職員よりかなり低く抑えられています。一方、各自治体は労働行政も担っています。

 つまり、労働関係法が各事業所において遵守されているのかを監視する立場にあります。

 その自治体が自らの事業所で働いている労働者の労働条件に無関心であってはいけません。確かに、会計年度任用職員は雇用では無く任用です。任用は行政からの命令であり、雇用(労働契約)ではないことから、労働契約法の適用外という論理を各自治体が盾にしていますが、これを続けている限り、労働力は確保出来ないものと覚悟すべきです。


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