しみったれな賃上げ
- 2021年11月20日
保育職、介護職、看護職を限定して賃揚げを行う事とした岸田氏。
しかし、その中身は現実離れしたもので、言葉だけの賃上げに等しいものと評価せざるを得ません。
岸田氏は、3職種の所得に対し、「仕事内容に比して賃金の水準が長い間低く抑えられてきた方々の所得向上に向け、公的価格の在り方を抜本的に見直します。」と話しましたから、当該の職種の方々は大いに期待したものと思います。
しかし、その内容は保育職、介護職は3%で平均9000円、看護職は1%で平均4000円の賃上げで、所得格差はほとんど埋まらない程度となっています。
政府の公的価格評価検討委員会によると、全産業平均賃金は月収35万2000円で、保育職は平均30万2000円、介護職は平均29万3000円、格差は5~6万円と開いていますから、所得格差は一向に解決しません。
また、看護職は月収39万4000円となっているものの、日本医労連の調査では40代の基本給が平均29万円程度とのこと。
ここに4000円の賃上げでは雀の涙と言うことになります。日刊ゲンダイは、この内容を「子どもの小遣いレベル」と酷評しています。
また、看護職の賃上げは、コロナウィルス対応に従事する看護師に限定、さらに来年2月から9月までの期間限定となっていますから、岸田氏の言う「仕事の内容に比して賃金が安い。抜本的に見直す。」という言葉と、行おうとする見直しの内容に大きな乖離があると指摘せざるを得ません。
同じく、現場段階では保育職も介護職も公的価格委が示している額には全く達していない、というのが現実です。そうでなければ離職が多く慢性的なマンパワー不足となっているはずがありません。
財政支出55兆7000億円にもおよぶ経済対策ですが、ここに防衛費の7000億円の増額も含まれています。何が緊急対策なのか、さっぱりわかりません。