すでに宿泊税導入の結論か(ブログ3303)
- 2023年08月08日
北海道が導入を目論んでいる観光振興税(宿泊税)に関わる有識者会議「観光振興を目的とした新税に関する懇談会(第1回」が開催されました。
初回の今回は、事務局となる道から論点整理が示され、それに沿って「新税導入の必要性」、「今後の観光施策の方向性」、「新税の使途イメージ」、「新税の枠組み」、「新税導入のスケジュール」などの検討をすることが確認されました。
具体的な議論は9月に第2回、10月に第3回の会議が予定されていますが、その後は未定となっています。懇談会構成は、北大、大阪府立大学(既に宿泊税を導入済み)の教授、会計事務所、ホテル・旅館業の団体、北海道観光機構、旅行代理店関連団体、北海道消費者協会の代表となっており、オブザーバーとして、既に宿泊税を徴収している倶知安町、導入を検討している札幌市、函館市、小樽市、旭川市、釧路市、帯広市、富良野市、北広島市、ニセコ町、美瑛町、占冠町、斜里町、赤井川村、留寿都村、北海道試聴会。北海道町村会が参加しています。
さて、第1回から全ての委員が導入には前向き、そして税額も物価が上がっていることから100円ではなく200円の定額制、免税(課税対象外)は不要、徴収事務の軽減、徴収方法まで話が進んでいます。
これで北海道としては「ニンマリ」でしょう。根回しの効果でしょうか。
この分で行くと、年内にも懇談会としての結論が出される可能性が高くなってきました。
委員の中には、「北海道の観光予算は決して多くない。」という方もおりましたが、観光立国の北海道がその稼ぎ頭の観光を外部の機構に丸投げしたのは、予算も人材も省きたかったからに他ならず、そのことを知らずして予算が少ないとは・・・。観光は裾野の広い産業ですから、本来は行政が率先して予算を確保すべきものではないでしょうか。
また、「一定の担税力のある(税を負担する収入がある)納税者に課税するものであるから、理論上免税は不要。」という委員もいました。
先日、検診を受けるために札医大に行った時の話です。待合室の私の隣に3人の家族連れが看護師さんから入院の説明を受けていました。何気なく聞こえてきましたが、このご家族は留萌から来たようで、検査入院とその後の手術等の説明を聞いていました。
ご夫婦はご高齢で、娘さんが中心に話を聞いていましたが、父親がガンのようで、昨日札幌に入り、今日も札幌に泊まって明日帰るとのこと。それを聞いていた私は、今回の医大での診察で前泊と後泊、そうなれば検査入院の時もそうでしょう。手術の時も、そして、時折差し入れや術後の経過などの様子を見にも来なければなりません。
この方からも税を徴収することになります。担税力が備わっているのでは無く「命」です。この委員は、自分も含めて担税力のある方しか目に入っていません。
修学旅行も、部活動の全道大会も教育的視点を無視することは出来ません。市町村民税など税から教育予算も支出していますが、そこにもにも道が課税します。
究極は、知事も含めて道職員と179市町村の行政マンが道内に出張する際に納税するということです。市町村は道に税金を支払うのです。基礎自治体が広域自治体に納税をする。「ん?」。道は道職員の出張の場合旅費に宿泊税分を上乗せして支給し、出張先では道に宿泊税を支払う。「ん?」。何と滑稽なことでしょう。
このことにも考えが及ばない委員の方々なのかと残念でなりません。
しかし、新税導入をゴールとする号砲は鳴ってしまいました。
何に使うかもこれからの話という誠に不思議な新税導入。懇談会は道の新税導入のお墨付きを与える場ですが、結論ありきの拙速な判断では無く、深みのある道民が納得いくような議論を期待します。