どうする札幌冬期五輪
- 2021年07月25日
2013年IOC総会で東京五輪開催が決定、この時から今が始まりました。
五輪開催に関わるこの間の我が国の迷走ぶり、IOCの本質を見て、二度とこのようなことは繰り返したくないと考えるのは、多くの国民の偽ざる思いでしょう。
しかし、我が国はもう一度同じようなことを経験するかも知れないのです。
日本は、2030年開催予定の冬季オリンピックを札幌に招致しようと活動を展開しています。
札幌市が14年10月に実施した五輪開催の是非に関する市民アンケートでは、賛成が33.7%、どちらかと言えば賛成が33.0%で、合計66.7%、賛成率は約3分の2を占めました。
しかし東京五輪では、当初予算の4~5倍までに膨らみ続けた開催費用、一度招致が決まれば、開催国にどのような理由があろうとも開催しなければならない契約、オリンピックファミリーへの最大級の接待など、14年のアンケート時には思ってもいなかった実態を知ることになりました。
当然、費用負担が大きな問題となってきますし、オリンピックは国では無く開催都市が前面に出ますから、札幌市の負担がどのようになるのか、そこに北海道がどのように支援するのか、国の負担は・・・。
30年の開催本命だったノルウェーのオスロが辞退したのは、4,000億円の開催費用だけではなく、IOCが開催地に求めていた「国王主催のパーティー、豪華接待要求、ただ飯・ただ酒」をメディアがすっぱ抜いたためとも言われています。
一方、札幌冬期五輪の開催費用は、当初4,500億円と試算されていましたが、ボブスレーやスケルトン、リュージュといった「そり競技」を、長野五輪で使用されたそり競技会場「スパイラル」にお願いし、選手村もホテルを利用、メディアセンターも既存施設を活用するなど、約2,100億円としていた建設費用を800億円~1,400億円分圧縮し、3,100億円~3,700億円とすることを明らかにしています。
しかし、1960年以降の五輪では全ての大会で当初予算をオーバーしています。
史上最も費用がかかった大会は、冬季ソチ大会(ロシア)で約5兆7,500億円、夏期北京五輪の約4兆5,000億円です(インフラ整備の分も含みますが)
そして、14年に66.7%だった賛成率は18年に51%、19年には46%となっています。
開催費用負担増、市民の賛成率低下、IOCの横暴、どれをとってもクエスチョンが付きます。
さらに、前回開催された1972年当時の社会・経済状況と今とは全く違い、人口もピークを過ぎて減少、五輪が起爆剤となることはありませんし、冬期リゾートはニセコなどにちらばり、札幌が恩恵を受けることも考えづらく、唯一の新幹線札幌延伸も1964年の東京五輪時に併せて開業した初めての新幹線と比較することはナンセンスでしょう。
何より東京五輪でここまでIOCにコケにされた日本が、またもや同じような選択をすることは考えられず、日本人としての判断は明らかだろうと思います。