どうぞお帰りを
- 2019年12月06日
週明けの9日臨時国会が終了します。
野党は正月返上の40日間延長を求めていますが、政府・自民党がこれを認めるわけは無く、国会は予定通り休会に入ります。
わずかな審議時間で可決した日米貿易協定はウィン・ウィン(双方の勝利)の協定では無く、一方的に日本が敗北し米国が勝利したルーズ・ウィンの結果となりました。
コケにされ続けてきた日米関係ですが、年明けには更に居丈高に負担を求めてくるようです。
11月19日にソウルで行われた米韓協議で、米国は韓国に対し在韓米軍駐留費用の負担額を今年度の1兆389億ウォン(約968億円)から、その5倍に引き上げることを要求、韓国側はこれを拒否し協議が決裂したことが報じられていましたが、先般、トランプ氏が「日本はお金持ちだから、きっと理解してくれる」と、在日米軍駐留費用の引き上げを示唆しました。
日本は在日米軍と、その一部のグアム移転のために支出している総経費は、今年度で約6,204億円で、それに加えてさらに60億ドル(約6,500億円)を要求しようとしています。
グアム移転経費を除く今年度の通常経費負担額が約1,974億円ですから、それに加えて6,500億円となると約8,500億円、現行の4倍強の要求となります。
日本政府が負担する特別協定の期限切れが21年3月に控えているために、年明けにも日米交渉が始まりますが、まずは米国がジャブを打ってきたと言うことになります。
心配なのは、日本が韓国のように要求を拒否できるかどうかです。
これまでのようにトランプ氏の財布として、言われるままに何もかも金を出してきた安倍晋三氏は、ここでも「日米安保は重要」とか何とか言いながら支出を判断するでしょう。
軍事評論家の田岡俊次氏は、「米国防総省の2004年の報告では、日本は米軍駐留費の約75%を負担、韓国は40%、ドイツは32.6%であり、また、在日米軍が日本の防衛に当たる部隊は極めて少なく、米海兵隊は沖縄・岩国などに1万9,000人いるが、ほとんどが情報・補給要員で、戦闘部隊は歩兵約3,000人、戦車ゼロ、オスプレイ20機、佐世保の揚陸艦に交代要員の歩兵900人、第7艦隊は陸戦隊として西太平洋・インド洋を巡行しており、日本の防衛兵力ではない。」と話しています。
ちなみに、日本の自衛隊は現行兵力で約15万人、空軍力は中国に次いで世界5位、総体の軍事力は世界7位ですが、上位6カ国は全て核保有国(米国、ロシア、中国、インド、フランス、イギリス)、これをを除けば、日本がトップの軍事力を有することになります。
また、田岡氏は「米国が無法な要求をし、要求を飲まなければ米軍を撤退すると脅すなら、どうぞお帰りになっても結構ですと応ずるべきだ。
万が一そうなっても日本の防衛に大穴があくことはなく、北朝鮮が日本の米軍基地にミサイルを発射する危険は消え去る。米国民間人が韓国に約14万人、日本に約6万人いるから、もし北朝鮮が核攻撃をすれば米国人の死傷者も多く出る。米軍が日本にいなくても、米国は常にアラスカ沖で待機する戦略ミサイル原潜などで報復攻撃をすることになるので、北朝鮮は核使用をためらわざるをえず、抑止効果は残ると考えられる。」と考察しています。
値上げを要求してきたらこれは大きなチャンスと言うことになります。
これに応ぜずに米軍が撤退したら、米軍基地は各自治体に戻り、米軍への思いやり予算も、国民への思いやり予算として活用できるようになります。
なにより、米軍基地が無ければ攻撃される事も無くなるだけではなく、北方領土問題でロシアが懸念している米軍の関与もなくなり、返還交渉も少しは前に進むでしょう。