またも無責任な五輪会場
- 2016年03月05日
2020年東京オリンピックメイン会場となる国立競技場。
メインエンブレムの盗作問題から、ザハ氏の設計を決定した後に膨大な建設費への批判からコンペのやり直し、2020年の開会式前までに建設が間に合うのか国民に気を揉ませているかと思えば、今度はメイン会場に聖火台スペースが無い設計であることが分かるなど、何から何までクレームが付きっぱなし東京オリンピックとなってしまいました。
選考過程が不透明ながら決まった建築家「隅 研吾氏」のA案に聖火台の位置が記載されておらず、聖火台がおけない事が報道され、「何をやっているのか」と思った方々は非常に多いことだろうと思います。
そしてここでも責任のなすり合いが起こり、誰も責任を取ろうとしないことも明らかになりました。
建築家の隅氏は「応募要綱に入っていなかった」と話していますが、要綱に無いことも問題ですが、聖火台を検討もしなかったということ事態、真剣味に欠けていると指摘されても仕方がないものではないでしょうか。
無論、開会式で、聖火がどのように演出されるのか、テレビ中継を含めて世界中の方々が楽しみにしている事ですから、それは、本番まで秘密であることの方が、夢が広がりますが、それにしても、聖火台を全く考えてもいなかった案を採用する方も問題意識に欠けると言わざるを得ません。
今回のコンペで敗れたB案を策定した建築家の伊東豊雄氏は、「五輪をプロデュースする方の意向が優先されることが想定出来たので、デザインの段階で具体的な場所まで指定した場合、政府やJSC(事業主体の日本スポーツ振興センター)からクレームがつく可能性が有り、具体的にアピールしませんでした。」とコメントしたようですが、その伊東氏の全45ページにもわたるB案の提案書には、43ページ目に聖火台の位置が記載されていました(今でもJSCの公式サイトで聖火台の位置が分かる)が、これはIOC(国際オリンピック委員会)が示している、①観客全員から見える ②期間中は外からも見えるよう、可能な限り目立つ場所に設置する という条件を満たしています。
設計では両者共に木材を多用した設計になっており、メインスタジアムの屋根に木材を使用する以上、聖火が木材に延焼しないよう消防法に照らして設計されるべき物であることは論を待ちません。
また、これから設計のやり直しなのでしょうか。
遠藤利明五輪担当相は「聖火台の設置場所は開会式の演出の関係する。まだ先の話だと思っていた」と責任逃れをし、政府・文科省やJSCは「Tokyo2020(大会組織委員会)が考えるもの」との意識で、Tokyo2020は事業主体のJSCの所管と考えているようでは、横の連携が全くとれておらず、残念ながらオリンピックにも現政府のような無責任体質が感染してきているようです。
フクシマ原発事故の汚染水も「アンダーコントロール」が出来ておらず、「嘘」と「無責任」が折り重なっている状況で、オリンピックは本当に大丈夫なのでしょうか。