やらせの「決議」
- 2019年10月14日
道が、他の自治体に介入するなど、もってのほかです。
そして、それも市議会の決議にまで介入するとは、開いた口が塞がりません。
IRカジノの誘致について鈴木知事は、「道民目線で判断する」と明言しましたが、半数以上の道民目線は明らかにカジノ誘致に反対か消極的です。
それを打開するために、全道5カ所で道民説明会を開き、その中で新たな手法であるグループディスカッションとグループによるアンケートを実施することになりました。
道の第三者委員会でもカジノに積極的な委員が多く配置されていた結果、知事への答申は「ギャンブル依存症に配慮しつつ、積極的に推進すべき」というものになりました。
新しい手法のアンケートは、当然推進への誘導が意識されものであると認識しますが、今回の道の動きは、それだけでは足りないと思ったのか、有力な候補地である苫小牧市議会の決議があれば、地元の道民目線としてより誘致に有利に働くことになると考えて仕掛けたものでしょう。
道の働きかけを受けた苫小牧市議会の推進派は、わざわざ、今月28日に臨時会を開催してまでも決議を提出し、可決するようです。
苫小牧市議会も道議会同様、決議については「議会の総意」という位置づけになることから、全会一致が基本となっています。
いくら賛成派の数が多くても、多数決で総意を決めるべきではありません。
今回の道議会でも同じようなことが起こり、国民の憲法議論を促進させることを目的とした意見書が、自民党1強の強行採決で可決しました。
このようなことが道内のあらゆる議会で行われるようになれば、まさしく安倍1強の地方版であり、地方自治の崩壊に繋がります。
ましてや、道という行政機関が、市という行政機関に対し「市議会の議決が誘致の是非に大きな影響を与える」と示唆するなど言語道断です。
仮に、これで28日に苫小牧市議会臨時会が開催され、可決されたとしても、この決議は疑義のある決議となるでしょう。
これを知事が参考にするということは、国と地方が同じ立場であると同様に広域自治体である道と基礎自治体である市町村は同等の立場であり、道は指導する立場ではないとする「地方自治法」の主旨をねじ曲げることになります。
基礎自治体に介入した「やらせ」の決議は、道民目線とは決してならないでしょう。
知事はこのカジノ問題で、就任早々「汚点」という消すに消せない「タトォー(入れ墨)」を身に刻み込むことになります。