アイヌの権利保護
- 2020年07月02日
道の許可を得ずに河川で鮭などを捕獲したことで、水産資源保護法に違反をしたとして書類送検されていた紋別アイヌ協会の畠山敏会長他2名の不起訴処分が決まりました。
水産資源保護法に関わり、道には河川でのサケ等の捕獲を行おうとする者は「道内水面漁業調整規則」により道に申請をし、許可を受けることを条件に認めていましたが、畠山会長たちは「河川におけるサケの捕獲は先住民族としての権利である」として、あえて許可を得ずに公開で捕獲を行い、神に捧げる儀式を行いました。
現場となった藻別川では、道の担当者が法に違反するので捕獲を止めるように指導し制止を試みましたが、これを無視して漁を行った結果、道は密漁者として紋別署に告発し、書類送検されてしまいました。
度重なる警察の事情聴取が過度のストレスとなったのか、畠山会長は脳梗塞を患い今も闘病中とのこと。
不起訴処分となったことは、ご本人にとっても心のつかえが取れた気がするだろうと思いますが、根本的な解決にはなっておりません。
これまで、明治政府による権利剥奪や差別は、1899年に施行された「北海道旧土人保護法」、「アイヌ文化振興法」を通じて120年間アイヌの方々を苦しめてきました。 その屈辱の日々に対する政府の対応は、新たな「アイヌ施策振興法」が施行されてもなお改善すべき点は残されており、藻別川事件はその象徴とも言えるものだと思います。
7月11日、白老町に完成した国立施設「アイヌ民族共生象徴空間・ウポポイ」が公開されます。
その新しい施設が先住民族アイヌへの理解に大いに役立ち、様々な問題点が解決する1助となれば幸いです。
北海道議会は「アイヌ政策推進北海道議会議員連盟」を平成24年に設立しました。
その設立趣意書には「アイヌの人たちは、特に明治以降、政府が進めた政策によって、アイヌ語や生活習慣を事実上禁止され、伝統的生活を支えてた生産手段も失うなど、アイヌの社会や文化が大きな打撃を受け、差別と貧困を余儀なくされてきたという歴史があります。
こうした歴史的経過を踏まえ、アイヌの人たちの社会的・経済的地位の向上を図るとともに、アイヌ文化の振興を図るためには、国において、総合的なアイヌ政策を実効あるものとして確立し早急に実施すべきであり、アイヌの人たちが民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代へ継承していくため、道議会においても広く議員各位の賛同を得て、「アイヌ政策推進北海道議会議員連盟」を設立し、国のアイヌ政策に対する意見や提案も含め、道議会としてあるべきアイヌ政策について議論を深めてまいりたいと考えています。」とし、その目的を「この連盟は、先住民族であるアイヌ民族としての誇りが尊重される社会の実現を図るため、アイヌ政策の推進に寄与する事を目的とする」と規定しています。
連盟として今取り組むべきは、アイヌ民族が渇望する河川でのサケ捕獲に関する規則の柔軟な取り扱いを道に求めることではないでしょうか。