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アイヌを甘やかす?

  • 2020年11月25日

 道議会の環境生活委員会において、自民党の議員が「アイヌと人を甘やかしているのは国であり、道で有り、アイヌの人々自身ではないか。」と発言し、委員会に同席していた他の議員から、「アイヌを甘やかしている。」という発言の削除を要求され、それに応じる考えを示した事が報道されていました。

 質問者は「道がアイヌ政策を行ってきてから60年が経過したが、その間約120億円ほど投入されてきた。どれだけの効果があったのか。」

 道は「アイヌ生活実態調査によると、生活保護率は昭和47年に115.7パーミル(千分率)が直近では36.1パーミルに改善され、高校の進学率も41.6%から95.1%に、昭和54年での大学の進学率は8.8%だったものが33.1%に改善されたものの、アイヌの人たちが居住する調査対象市町村全体との比較においては、依然として格差が見られる。」と答弁。

 これに対し、質問者は「一定基準が満たされるまで続けるのか、その基準は何を指すのか。」と追求。

 道は「アイヌの人たちの生活実態は、道民一般との比較においては依然と格差が見られることから引き続き施策を推進する必要がある。」と答弁。

 更に再々質問で「アイヌ施策が不要であると述べているわけではない。見直すきっかけにウポポイやアイヌ施策振興法が資して行かなければならない。」と発言。

 道は「これまでの生活向上に加えて、民族としての誇りの源泉であるアイヌ文化の振興や、これらを活かした地域の活性化、産業や観光施策などを含め、アイヌ施策を総合的に推進して参りたい。」と答弁。

 質問者は最後の指摘の中で「アイヌ文化を利権と課してはいけないと思う。群がる勢力の目的を慎重に見抜かなければいけないのだと思う。実は、アイヌの人々を甘やかしているのは、国であり、道でありそしてアイヌの人々自身では無いでしょうか。」と問題の発言を行いました。

 直接、委員会に出席して傍聴していたわけではないので、その場の空気がどうだったのか判りませんが、文字おこしをした文章を読むと、アイヌの皆さんが、自らの文化やアイヌ施策振興法を利権として利用し、ぬるま湯に浸かっているとの批判に受け取れます。

 そのような考え方が有ることを悪いと単純に批判するつもりはありません。

 しかし、明治以前から和人(シャモとアイヌは呼んでいた)がアイヌに行ってきた土地や収穫物の収奪、アイヌ言語や文化・生活習慣の禁止、和人名への強制改名、アイヌを土人と位置づけた差別などの歴史を理解せず指摘するのはいかがなものかと思います。

 ちなみに、道内での直近の生活保護率は23.4パーミル、高校進学率は98.8%、大学進学率は46.2%となっており、生活改善が進んでいても尚、格差は明らかです。

 今日、少しの空き時間を利用して、福永壮志監督ニューヨーク・トライベッカ映画祭:国際コンペティション部門審査員特別賞受賞作品「アイヌモシリ」を鑑賞してきました。

 14歳のアイヌの血を引く少年が、アイヌの精神や文化に目覚め、育てた熊が「イオマンテ(熊送り)」の儀式で神に捧げられる事に抵抗しながらも、回りの大人達がアイヌへの自負とその生活習慣の継承に心血を注いでいる姿を通して成長する姿を描いてます。

 今でも残るアイヌへの偏見や差別に対し、先住民族であるアイヌの方々に今なにをすべきか、地元の北海道議会議員として深く考ていかなければなりません。


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