エネルギー転換(ブログ3825)
- 2025年02月04日
トランプ氏が、化石燃料と地球温暖化は全く関係の無い話しだとして「パリ協定」から離脱する大統領令に署名をし、その後の記者会見で、アラスカを含む米国内の化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくる」と、手をドリルのようにして息巻いている姿を見てしまいました。
その姿に多くの国民は、また異常気象が世界に際限なく襲いかかってくるのではないかと懸念しましたし、南太平洋にある島国は、自分達の国が海面以下になり国家が消滅してしまうことは避けられないと絶望にも似た思いを持ったことでしょう。
たった一人の独裁者が、自国1国のために世界を犠牲にしようとする。まさしく悪魔の所業です。
しかし、世界の専門家や投資家はトランプ氏に対し全く違う見解を出しています。
ロイター通信によると、「石油・ガス大手はトランプ氏が国内のエネルギー開発を奨励したいと考えている事を歓迎したいが、パリ協定再離脱はクリーンエネルギーへの世界的な移行に向けた投資計画に役立たない」、「米国がパリ協定再離脱することで規制が曖昧になり、複雑さが増し、多国籍企業が移行戦略の不確実性に対処する中で法的紛争に巻き込まれてくる」と話し、既に動き出した自国で石油・ガスを生産する多国籍企業のクリーンエネルギーへの転換や投資行動の足かせになる事を指摘し、国内での訴訟が多発することを懸念しています。
また、英国インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICR)環境政策センターのフリーデリケ・オットー上級講師は、「パリ協定は人権に関する協定だ。格差を拡大し、基本的人権を侵害しようという意図をあからさまにしているトランプ氏が、米国をパリ協定から再離脱させても全く驚かない。」、「気候変動はすでに米国内、世界中で人々の生活を困難にしている。
世界の平均気温が上昇するごとに異常気象は激化し、食糧・住宅・労働・医療など基本的人権に影響を及ぼす。トランプ氏が何をしようと、これまで以上に彼とは異なる物語をを語る事が重要だ」。
同じくICRのマーク・マスリン教授は(気象学)「トランプ氏は石炭の熱心な擁護者だが、第1次政権時にガスや再生可能エネルギーへの転換で、石炭使用量は減少した。単純明快な経済原理によりこの傾向は今後も継続する」と断言しています。
マスリン教授によると、グリーン経済は年間10兆ドル以上、世界の総生産(GDP)の10%に相当する規模に成長している。米国でも化石燃料産業の雇用は30万人止まりなのに対してグリーン経済の雇用は少なくても1,000万人に上っている。政治的にも経済的にも化石燃料の時代は終わっている。化石燃料がエネルギーとして使われなくなるのは、『いつか』では無く、『いつなのか』という問題なのだ。」と化石燃料の終焉が目の前である事を指摘しています。
さらに、スペインの生態学研究・林業応用センター(CREAF)のアシリア・ペレス・ポロ氏は「パリ協定は第1次トランプ政権においても強靱である事が証明された。市場と経済は脱炭素化に向かっており、ホワイトハウスに誰が座ろうと止めることは出来ない。」と語り、トランプ氏の化石燃料礼賛政策に、世界はびくともしないとの見解を述べています。
国内においても、味方だと思っていた化石燃料生産多国籍企業が好ましく思っておらず、さらに、ヨーロッパにおいても「アホ」扱いされているトランプ氏、右手には車両のEV化を促進しているテスラのイーロンマスク氏もいますが、得意の自動車産業は必然的にグりーンエネルギー発電のEVに転換するでしょう。化石燃料はフェイドアウトに向かっているのです。