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オリ・パラのボランティア

  • 2018年08月17日

 東京オリンピックの開催について、ご老体の森喜朗組織委員会会長が真夏の開催対策として「サマータイム」の導入を思いつき、安倍晋三氏に提言をしたら政府として検討することになりましたが、最近のマスコミは「現実的ではない」などというような評価をしています。

 すでに「真夏のオリンピック開催は避けるべきで、アスリートのパフォーマンスが最大限に発揮されるであろう、爽やかな気候の秋に開催すべき」ということを幾度かブログに掲載してきましたが、この真夏のオリンピック開催について、もう一つの問題点があるようです。

 それはこのイベントの成功のためには多くの「ボランティア」に頼らなければならないと言うことです。

 文科省とスポーツ庁が全国の大学や高等専門学校にオリンピック開催期間中はボランティアの妨げにならないように「学生ボランティアは、学生から社会への円滑な移行促進の観点から意義がある」、「開催期間中に授業・試験を行わないようにするため、授業開始日の繰り上げや祝日授業の実施の特例措置を講じる事が出来る」などの通知を出し、学校に圧力をかけています。

 オリンピックは7月24日~8月9日までの17日間、その後のパラリンピックは8月25日~9月6日の13日間開催され、大会を運営するために必要なボランティアは、およそ11万人と試算されていますから大変な数のボランティアとなります。

 これだけのボランティアを集めるのは至難であることは言うまでもありません。

 さらに募集要項ではボランティアに参加する方々に条件まで付けています。

 <10日以上の活動を基本>、<1日8時間程度>、<研修及び活動期間中における滞在先までの交通費および宿泊は自己負担・自己手配>などだけではなく、<ボランティアの中高校生枠>まで設け、<多様なボランティア参加者の促進:障がい者、児童・生徒、働く世代・子育て世代>とし、シニア世代は対象としない事になっています。

 さて、働く世代では連続して10日以上の有給休暇を取得出来る方はかなり限られていますし、1日8時間程度と言いますが、スポーツの世界は競技や試合によって時間が延長されることは日常茶飯事です。また、サマータイムなどが導入された場合にはマラソンは午前5時スタート、当然準備のためにボランティアはその2時間前の午前3時頃には持ち場に来ていなければなりません。そして交通手段は自己責任で、この時間ではバスも電車も始発前となりますから、タクシーを使ったとしても交通費は自己負担となります。

 研修や活動期間の宿泊も自己責任と言いますが、オリンピック・パラリンピックの期間中は全国そして世界から観客が集まりますからホテルを取るのも至難の業、当然この期間の宿泊費は跳ね上がります。

 中高校生や児童・生徒も対象ですが、学校単位や部活単位で参加を要請された場合、断ることが出来るでしょうか、ましてや受験を控えた中高校生までもが動員されることにもなりかねません。

 そして、一番時間の有るシニア世代は蚊帳の外となっています。

 オリ・パラは世界的なイベントです。取り仕切っている電通は4,000億円ものスポンサー収入を集めていますし、さらに莫大な放映権料などもIOCの収入になります。

 無償のボランティアを使って莫大な利益を得る、何かおかしくありませんか?

 「ブラックボランティア」の著者である本間 龍氏は「そもそもボランティアは自主的にやるもの。条件を付けて集めている時点でもはやボランティアではなく、労働搾取に他なりません。政府がボランティアという呼称にこだわるのは、もし参加者が大きな事故や病気になった場合、自己責任だと言い逃れするためでしょう。」と話しています。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。


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