背景

ブログ月別アーカイブ

ブログ

>>前のページへ戻る

カジノの餌食

  • 2019年10月24日

 1昨日、カジノ(IR)の誘致について北海道の経済団体が誘致への共同宣言を発表したことに関わり、主張していることの矛盾などについて指摘しましたが、今日は、違う観点からカジノを考えてみたいと思います。

 ジャーナリストの出井康博氏が、自らマカオのカジノホテルVIPフロアーを取材した内容を掲載いたします。

<1階の一般フロアーとは違い、最上階のフロアーは6台のバカラテーブルが配置されており、奥には個室もある。ここでは、一晩で億単位の金を動かす超富裕層が遊んでおり、VIPの収入は一般客全体に匹敵する。カジノの成否はVIPの誘致次第といっても過言ではない。

 カジノの収入は客の負け分である。マカオには41件のカジノがあり、その収入は13年で日本円に換算し約4.8兆円、同じくシンガポールでは2件のカジノでラズベガスに匹敵する6,500億円の収入を上げるまでの急成長をしている。

 全国約9,000件の日本のパチンコが収入ベースで約2,5兆円だからカジノがいかに稼いだかわかるだろう。

 マカオの場合その客の6割が中国本土からやってくるが香港・台湾などを含めると約9割が中国人ということになり、その中でもとりわけ「ハイローラー」と呼ばれるVIP客の存在が大きく、マカオのカジノでは収入の7割、シンガポールでは4割を占めている。

 VIPフロアーで起きている実態はブラックボックスであり、マカオでは「ジャンケット」と呼ばれるVIP斡旋業者が取り仕切り、収入の4割がジャンケット、2割がカジノ事業者、4割が税金となっているそうだが、マカオ政府も事業者も把握できていない。

 VIPとジャンケットが話を合わせれば何でもできてしまう。1万ドルを賭けたように見せかけ10万ドルとして計算することもできる。従って事業者や政府もはっきりしたことはわからない。マネーロンダリングもやり放題と関係者は話してくれた。

 中国からの超富裕層は、違法な手段で富を築いた政府高官やビジネスマンも少なくないが、彼らは自由に現金を海外に持ち出せないことから、マカオやシンガポールのカジノを利用して資産を海外へ移転させていた。

 しかし、その後、習近平指導部による汚職撲滅キャンペーンが影響し、多くの中国人VIP客がマカオ・シンガポールから去る、その結果マカオのカジノ収入は激減し、3年前の6割に、シンガポールも7割に落ち込んだ。

 マカオのジャンケット幹部に「日本にカジノが出来たら中国人VIPが来るか」と尋ねたら、「(マカオのように)ジャンケットにフロアーを任せれば可能だよ」と答えた。

 一方、日本のカジノ推進派から「IRはカジノだけではない。ホテルやショッピングモールもあって、国際会議(MICE)の誘致にも役立つ」といった主張がよく聞かれるが、IRの収入はカジノで決まる。日本がモデルとしているシンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」の場合18年の第4四半期に約7億2,600万ドル(約777億円)の純収入があったが、そのうち7割近い約5億ドル(約535億円)はカジノであげている。

 カジノは米系企業が事業体となっていることが多く、ラズベガス・サンズ社の収入の約9割はマカオとシンガポールで上げた。つまり本家の米国よりもアジアで稼いでいる。

 そこのオーナーがシェルドン・アデルソンで、資産は約3.6兆円で世界17位の大富豪、トランプ氏の最大支援者としても有名で、前回の大統領選挙では1億2,800万ドル(約167億円)を寄付している。

 そのアデルソンがマカオやシンガポールで頭打ちになっているカジノの「ラストフロンティア」として参入を目指すのが「日本」なのである。

 このアデルソンは、自ら創業したコンピューター見本市「コムデックス」を95年に約800億円で売却しカジノへ参入したが、その売却先がソフトバンクの孫正義氏である。

 ラズベガスサンズは、横浜市が手を挙げた途端に大阪から寝返ったが、横浜での最有力候補ともいわれている。

 そして、アデルソンが狙うのは、日本の「パチンコ利権である」>と指摘しています。 日本、そしてカジノ誘致派は、カジノを甘く考えてはいるのではないでしょうか。

 マカオなどにはびこるジャンケットなどと反社会勢力が結びつくことはマネーロンダリングが容易に行われていることからも判ることでしょうし、IRの本質はカジノであること、その対象が中国人ではなく日本人であること、売り上げ約16兆円収入2.5兆円のパチンコ利権が目的であること、そして、アデルソンがトランプの支援者であり、マイアミのトランプ氏の別荘で行われた日米首脳会議で、トランプ氏からアデルソンを紹介され、「よろしく頼む」と言われた安倍晋三氏。

 そのお先棒を担ぐ菅官房長官、そして経済界。

 北海道にカジノが誘致されると、その客の6割が道民であることから、その資産がほとんど米国に吸い上げられていくこと、ギャンブル依存症、自己破産、すさんだ社会、知事の判断はすべての責任を負うことになります。そして賢明な判断であることを望みます。


Copyright(C)高橋とおる後援会 All Rights Reserved.