キャッシュレス化とビッグデーター
- 2018年08月23日
昨日のブログで、ATMでの入金や引き出しに手数料がかかる事について、「自分の預金の引き出しに手数料とは、なかなか納得がいかない」という意見を述べましたが、今日の新聞には、スマートフォンなどを使用したキャッシュレス化(非現金決済)について、政府が2019年度の重点分野として推進する方針であることが掲載されました。
キャッシュレス化については韓国が89%、中国が60%も浸透しており、訪日外国人観光客に不便を強いているとのことと、ATM設置費用が金融機関の負担になっていることがキャッシュレス化を推進する大きな理由とされていますが、私は、このキャッシュレス化について少々不安を抱いています。
今年の5月に、日中平和友好条約締結40周年記念事業として上海、瀋陽、北京を訪問しました。
その時の報告を5月19日のブログに掲載しましたが、中国のキャッシュレス化の箇所についてのみ再掲させていただきます。
<驚くことに、買い物の支払いはほとんど全て携帯による決裁で、現金を持ち歩くという生活パターンは過去のものとなっています。
近くの商店でコーラ1本買うにも電子決済、私もホテル近くのコンビニ(ローソン)で買い物をした際、レジではカードすら使用できずに現金で支払いをしましたが、中国ではカードでさえ過去のものとなってしまったようです。
電子決済ではほとんど全ての買い物にポイントが付いており、このポイントも大きな魅力のようです。
国民も今まで考えられないくらい、マナーがしっかりしてきています。
街中に巡らされているカメラが瞬時に誰かを見分け、マナー違反があった場合には違反者が買い物などで貯めてきたポイントが減点される仕組みとなっていることから、バス停も綺麗に並んでいますし、車のクラクションも聞くことはありません。
良い面も有りますが、これだけ高度な監視社会の中で、全ての行動が管理されている事に大きな違和感を感じたのは私だけではなく、同行の参加者も同様でした。
電子決済の社会では、誰が何を嗜好し、何処の病院に通院し、どのような薬を服用しているか、例えば妊娠の徴候が有り産科で診察を受け、電子決済をした場合、定期的にこの産科に通えば、そのたびにどのような検査を行ったかが診察料を通じてデーターとして蓄積され、ネットで妊娠中の生活に関わる商品、妊娠数ヶ月後には男子か女子かが判明したら、ベビー用品や子どもに関する商品のカタログなどが送信されてきます。
いわゆるビッグデーターによって、私生活全てが丸裸になってしまいます。
今回の訪中では、電子社会、監視社会で管理される日本の市民生活の近未来を見るような震えを感じました。>
確かにキャッシュレス化は便利ですが、個人の様々な支払い内容によって、個人の嗜好、暮らしのレベル、健康状態だけではなく、本やDVDなどから思想まで掌握されてしまいます。
今でも、ネットで本などを購入すると、「この本を購入した方はこんな本も購入しています」という画面が表示されます。
便利の裏には、このような個人のデーターが、「アリババ」のようなプラットフォーマーだけではなく、政府など、様々な意図を持ったところへ流れるということです。