サマータイム導入
- 2018年08月07日
先日も、夏の東京オリンピックに関するブログを掲載いたしましたが、マスコミも今年の猛暑に関わって、2年後の東京オリンピックの開催に警鐘を鳴らし始めました。
そのことも有ってか、東京オリンピック組織委員会の森喜朗会長が唐突に「サマータイム」の導入を言い始めました。
それを受け、安倍晋三氏が前向きに検討する考えを示し、政府がまじめにサマータイム導入の検討に入ったようです。
それも、2時間のサマータイム導入、これで7時スタートのマラソンを5時に出来、その他の競技も早朝の涼しい時間に出来ると目論んでいるようですが、果たして現実性の有る取り組みになるのか、はなはだ疑問です。
これまでも、サマータイムは幾たびか話題になりましたが、一時期を除いて決して継続的に実行されることは有りませんでした。
昭和23年、GHQが健康福祉・省エネの名目で導入しましたが、労働時間の延長や日本の慣習に合わない等の理由で導入後4年間で廃止されました。
当時のGHQは政府に対し相当強く圧力をかける力がありましたが、それでも、日本には馴染まないと結論づけたのです。
また、当地・北海道においても札幌市を中心に2004年から3年間、705の企業や行政機関の約3万人が参加してサマータイムの実験が行われました。
しかし、メリット、デメリットが必ずしも明確ではなく、また参加した企業や行政も限られていたことから、この実験についての評価は曖昧なままとなってしまいました。
当時、経済評論家の方々は全国で実施したと仮定した場合、経済波及効果約9,700億円と試算しましたが、これに対し、同じく経済評論家の方は「経済波及効果の計算はいつも非常にいい加減で、一方がプラスになっても他がマイナスになって、だいたいプラス・マイナスゼロになる。失うものを計算に入れていない。」と経済波及効果の数字に疑問を呈しています。
さらに、時間を2時間早めるということは、今より2時間前に起床することを意味しまが、猛暑で寝苦しい夜を過ごす方々にとって、今より2時間早く就寝することなど考えられなく、睡眠障害や作業効率の低下を招くだけではなく、当然のことながら残業が増えることが懸念されます。
既に、海外で導入されているサマータイムですが、96年に導入したEUでも廃止の要求が国民から出て、フィンランドでは欧州委員会に廃止を申し入れました。
JRや航空機などの交通機関の時刻表の変更、コンピューターシステムの修正、その他諸々の対策を講じなければならない事になることを考えても、オリンピックのために国民の慣習が見直されて、馴染まないサマータイムを導入するなど本末転倒です。
賢い対処は、秋の爽やかな時期に開催すること、これしかありません。
すでに、海外のメディアも猛暑で熱中症の犠牲者が出ている日本の状況を放映し、暑い真夏に行うオリンピックが果たして猛暑による犠牲者を一人も出さずに実施できるのか懸念を示しています。