サード・プレイス(ブログ3263)
- 2023年06月29日
札幌に滞在するときのために、賃貸マンションを借りています。
その近くに、「コの字のカウンター」で8席ほどの小さな飲み屋さんがあります。
お酒と軽いおつまみ、そして締めのラーメン。スペインの「バル」のような感覚で、たまに寄っては、初めてのお客さんと世間話をし小1時間程度で店を後にします。
カウンターの中に居るママさんは、そんなお客さんを笑顔で眺めています。
店は外から丸見えで、夏には、店の外で立ち飲みする方も出てきます。
今の日本で最も一般的な暮らし方は「一人暮らし」で、2020年時点で日本の単身世帯数は一般世帯数の35.7%を占め、東京23区、大阪市、福岡市では2世帯に1世帯が単身世帯と言いますから、札幌市も「ほぼほぼ」そのような状況なのだろうと思います。
一人暮らしは気楽ですが、一人で居ることのリスクや不安、疎外感や孤独感は先のコロナ禍で多くの皆さんが十分に経験しました。
そんな方々にとって職場でも無く、家でも無い居心地の良い第3の居場所「サード・プレイス」の重要性が注目されています。アメリカの社会学者レイ・オールデンバーグが1989年に提唱した概念で、欧州のパブやバル、カフェなどがその例として挙げられます。 緩く他人と繋がり交流することで孤独感を癒やし、生活に潤いをもたらせています。
オールデンバーグによれば、「サード・プレース」に求められる8つの条件は、①中立領域に存在する(政治や宗教など特定の団体に所属していない)②人を平等にする③会話が主な活動④利用しやすく便利⑤常連がいる⑥物理的に目立たない存在⑦雰囲気に遊び心がある⑧家庭的とされる。
このような「サード・プレイス」は一人暮らしが増えている中で、今後求められてくると思います。若い方も高齢者も軽くアルコールが入り、世代を超えて心を癒やす場所。
さて、冒頭の小さな飲み屋さんは、私にとっての居場所となっていますが、条件の①にあるように、政治と宗教の話は一切しておりません。