デジタル監視社会
- 2021年04月04日
現在、中国は全ての人民を監視するシステムを構築しています。
「天網(スカイネット)」と呼ばれるそのシステムは、全国に約2億台の監視カメラを設置し、AIで顔認証出来るようにしています。
さらには、一人ひとりに「信用スコア」をつけて、学歴から犯罪歴、友人関係、物品購入歴、SNSでの発信履歴までをポイント化し、その人物をプロファイリングするというものです。そして、そのスコアが低いと飛行機にも乗ることが出来なくなります。
プレジデントオンラインに、毎日新聞の赤間清広記者のレポートが「AIを屈指した中国の個人情報収集」について伝えています。
<江蘇省無錫で女子大生に取材した時に話してくれたのが、「たまたま通りかかった繁華街のモニターに見覚えのある顔が映し出されていた。その顔が友人である事に気づきスマホでそのモニターの写真を撮り、友人に送信すると『何で私が』と怯えていた。」と言う。 そのことをタクシーの運転手に話したら、「『交通違反者暴露台』のことだろう市内にたくさんある。」と教えてくれた。繁華街の交差点にある100インチはあるであろうそのモニターには赤信号で交差点に進入したバイクと運転していた女性の顔がクローズアップされ映し出されていた。モニターの脇の監視カメラが撮影したものであろうが、モザイクもかからない顔写真には瞬時に女性の名前と身分証番号の一部が表示されており、プライバシーが丸裸にされ街中に公開されている状況だ。
地元メディアによると、設置したのは地元の警察で、この監視システムで交通マナーが大きく改善されたとのこと。
このシステムは撮影から個人を特定し、モニターに表示するまでの時間は数分程度で精度は95%以上だということだ。
罰金は信号無視程度であれば日本円にして数百円ほどだが、罰金を払うより衆目に晒される精神的なショックの方が遙かに大きいであろう。
タクシーの運転手も、「何処で警察に監視されているかも分からない」、「これまで警察に顔写真のデーターを提供した覚えなは無い。交通違反は悪い事だが、顔写真と個人情報をどうやって紐付けたのか、自分はいつも警察に監視されているという恐怖を覚えた」と話していた。
このシステムを開発したのが「ハイクビジョン社」で創業は2001年、07年に監視カメラシステムの販売を行い、わずか4年で世界トップシェアーに躍り出た。
この企業を習近平主席が視察に訪れた。絶大な権力を持つ周氏に視察された企業は政策に深く関わる「核心」と位置づけられる。
このハイクビジョンには日本の産業界3団体(日本経団連、日本商工会議所、日中経済協会)も視察に訪れている。
この視察に同行してハイクビジョン社からシステムについての説明を聞いたが、深夜周辺に明かりが無いにも関わらず、監視カメラの前を通過した車両のシートに座る人物の表情まで鮮明に分かる。車が通る度に解析ソフトが車種やナンバーを読み取り、ビッグデーターに蓄積される仕組みで、車両ナンバーを打ち込めば全国何処を走っているかが瞬時に分かるということである。
また、展示室には不思議な映像が映し出されていた。
これは、全国に張り巡らされている監視カメラで一人ひとりの顔認証、性別、身長、服装などあらゆる情報が当局に吸い上げられ、その映像には100人を超える男女の顔写真が表示され、その人間関係と密接度の分析実験が映し出されており、監視カメラだけでは無く購買記録やスマホの通話履歴もこのビッグデーターに使われているとのこと。
実用化されればプライバシーは完全に無くなる。私が(赤間氏)「こんなシステムが実現しないことを祈ります。」と話すと、ハイクビジョン社の担当者は「実用化はしていませんが、もう十分に実用化は可能です。」と話していた。>
とレポートしています。
私も日中平和友好条約締結40周年だった2018年に、中国の北京、上海等を訪れましたが、その時には既に同様のモニターが交差点に設置されておりました。
その時は顔写真まで映っていませんでしたが、交通マナー違反者の名前と住所が掲載されていました。
この時も中国は、既に現金での買い物は出来ず、カードも拒否され支払い決済ができるのはスマホだけで、デリバリーシステムも充実しており、食品から雑貨まで電話で済み、数ヶ月間も外出せず生きていける社会となっていました。
笑い話ですが、ある女性が薬局で妊娠検査薬を購入したら、翌日に女性の親のもとに赤ちゃんの産着やミルクのカタログが届き、家庭騒動になったこともあるとのこと。
これが、デジタル最先端国である中国の姿です。そして日本の行く道となるでしょう。