トランプのディールか(ブログ3884)
- 2025年04月09日
昨日のブログで、日本に24%の関税を課せられたら米国への輸出が減少し、関係する産業が大打撃を受ける事や、日本が報復措置として米国からの輸入品の関税を引き上げた場合、消費者の生活が立ちゆかなくなること、そして、道内から米国に輸出している総額894.6億円にも相当の影響を被ることを掲載させていただきました。
さて、トランプ氏の言は、「これまでの米国は被害者だった」、「敵対国より友好国の方が酷い」などと言い訳をしていますが、科学的・合理的な根拠をまったく示すことなく、新たに上乗せする税率を発表しました。しかし、貿易赤字の解消ではなく「掴み」で税率を決めるという暴挙は、世界中を敵に回す事に他なりません。
何が「自由貿易の旗手」なのでしょうか。各国とのこれまでの貿易協定でも、米国に有利な条件を提示し、相手がそれを飲まなければ協定を結ばないか或いは協定の破棄を通告する、つまり貿易大国である事を笠に着てやりたい放題、GATTウルグアイラウンドでは、日本が生乳13.7万トンの最低輸入(ミニマムアクセス)を押しつけられ、本道では乳牛から搾った生乳を廃棄するという事態も起きました。
TPPでは、最大貿易国の米国が交渉途中で離脱し、環太平洋12カ国で結ぶ協定が11カ国での協定となりました。その後、米国は、各国で結んだ関税率と同率の関税を米国にも適用することを求め、自国の利益ばかりを押しつけてきました。
2017年、トランプ1期目の時でしたが、あまりにも保護主義を前面に出してきた米国に対抗すべく日本とEUが「日EU・EPA」を結び、関税を限りなく低くしてゼロに近づけるための協定が結ばれましたが、この時も米国は、交渉の「おいしいどこ取り」を狙ったようです。
米国は資本主義の権化として、「強い者が勝者であり、弱い者は駆逐される」という事を実践してきた国であり、その結果として、ラストベルトの労働者達を生み、大きな所得格差を作り出して来ました。それは、日本の自動車や工業製品のせいではないのです。
昨日、米国のべセント財務長官が、「日本の関税は交渉可能。軍事面でも優秀な同盟国」と発言しましたから、トランプ氏の得意のディール(交渉)で、最初に高いハードルを提示し、徐々に低くしつつ、現状よりも高い関税で妥協するというシナリオなのだとも思います。
このような取引には、自由貿易を推進してきた欧州などと足並みをそろえ、対抗していくのも考え方では無いかと思います。当然トランプは、それ以上に嫌がらせをしてくるでしょう。何せ、世界を自由に出来る独裁者を気取っているのですから。