トランプ関税(ブログ3883)
- 2025年04月08日
今日の経済委員会で、トランプ関税に関わる道経済への影響について、「昨日、トランプ大統領と石破首相が電話会談をおこない、石破氏がトランプ氏に日本に対する関税の見直しを申し入ましたが、トランプ氏は対応を明言しなかったことが報道されました。トランプ氏の言うように24%の関税が課せられた場合、北海道経済への影響は計り知れないことが想定されるが、早急に道としての分析を行い、早い時期に議会にも示していただきたい。」ことを要望しました。
北海道は、これまで、道内からの食品の輸出目標を2024年~2028年まで1,650億円としました。
これまでの食品輸出目標は1,500億円でした。しかし、一時コロナ禍の影響で輸出も停滞していましたが、その後は和食のユネスコ無形文化遺産登録の効果にも後押しされ、また、日本産の食糧の安全も功を奏してか、少しずつ回復傾向にありましたが、そこに放射能汚染水の海洋放流という水を差され、水産物を中心に輸出が落ち込んでいました。
ちなみに米国だけでも23年の輸出実績は104億円でしたが24年度では157.4億円と約50%の増加となっていた段階で、今回の「トランプ・ショック」です。
記載したのは食料品の輸出額ですが、その他の工業製品など道内港から米国への全ての輸出額は894.6億円となります。
この輸出額に全て24%の関税がかけられることになれば、米国への輸出量が相当のダメージを受けることとなることが想定されます。
しかし、日本は米国との交渉に有効なカード(条件)を持ち合わせていないという弱点があります。この弱点はなかなか解消するする事はないでしょう。
仮に、報復措置として米国からの輸入品に24%の関税をかければ、それでなくとも円安で輸入品が高騰している中で、消費が落ち込むことが懸念されます。関係する業界の方々にとっては脅威となります。
2018年の統計では、米国の全体輸出総額のうち、日本は4.5%を占め、カナダ、メキシコ、中国に次いで4番目の輸出相手国となっています。また、米国の全体輸入総額のうち日本は5.6%となり、中国(21.2%)、メキシコ(13.6%)、カナダ(12.5%)に次いで4番目の輸入相手国となります。
割合は低いようですが、日本の対米輸出総額15.2兆円で輸入総額は約8兆円、米国にとって日本は約7兆円の貿易赤字国となります。
日⇒米の貿易構造は、同じく2018年で、1位自動車、2位自動車部品、3位原動機、4位面接・鉱山用機械、5位航空機類、6位科学光学機器、7位半導体等製造機器、8位ポンプおよび遠心分離機、9位金属加工機械、10位半導体等電子部品となっています。 これから、27年にはラピダスが本格稼働を目指していますが、暗雲が漂い始めました。
また、米⇒日の貿易構造は、1位原動機、2位穀物類、3位航空機類、4位医薬品、5位科学光学機器、6位液化石油ガス、7位肉類、8位有機化合物、9位半導体電子部品、
10位電気計測機器となっています。
日本が報復関税に踏み切った場合、新薬の多くは米国の薬品メーカーからで、国民の健康にも影響を来すかも知れませんし、燃料も物流等への影響が出てきます。
また、小麦・大豆・トウモロコシを含む穀物(飼料分も多く含まれる)、は食糧自給率が低い日本にはかなりのダメージのもなりかねませんし、米国産の肉は、スーパーの主要な品目となっています。これの影響も懸念されます。
今回のトランプ関税は、輸出に関わる産業は逃げ場が無く、輸入に報復関税を行えば国民生活の死活問題に発展します。どちらにしても、大変なことになるでしょう。