ハラスメント規制法
- 2019年06月01日
ハラスメント規制法が29日可決成立しました。
ハラスメントの対策として国・事業者・労働者に対し、他の労働者の言動に注意を払う責務を規定し、事業主には被害を相談した労働者に解雇など不利益な取り扱いを禁じました。
パワハラは①優越的な関係を背景に②業務上必要かつ相当の範囲を超えた言動により③就業環境を害する:の3つを要件としました。
一方、最近多くなった顧客からのカスタマーハラスメント(過度のクレーム)などは企業の防止義務の対象とはされず、指針で対策を検討するという中途半端な対応となっています。
しかし、これによって
・セクハラ・パワハラ・マタニティーハラスメントを「行ってはいけない」と明記。
・パワハラ防止の取り組みを企業に初めて義務付けし、相談体制の整備などの具体的内容
は指針で規定。
・セクハラ・パワハラ・マタハラの被害を相談した労働者への解雇などの不利益な取り扱
いを禁止。
・自社の労働者が社外でセクハラをした場合、被害者側の企業による事実確認などへの協
力を努力義務とする。
などのことが前進することになりました。
しかし、労働側が求めていた禁止事項や罰則規定が、企業側の意向に配慮して見送られたことから、労働組合側や多くの識者からも実効性に対し懸念の声が上がっています。
ハラスメントの訴えは年々増加し、被害者は相談の段階で疎まれ、自分が悪いのかと葛藤し体調を崩し精神を病み、うつ病を発症し休職や退職に追いやられることも少なくなく、最悪の場合は自殺の道に走ることもあります。
ハラスメントは深刻な人権侵害であり、仕事の効率を上げる観点から見ても非生産的な行為です。
職員を管理し、人事権を持つ企業側が率先して職場環境を整え、ハラスメントを一掃するべく意識改革を行うべきです。
そのためには、社員全員を対象とした研修会を開催し、定期的に社員アンケートを実施するなどの具体的な行動を起こさなければなりません。
被害者は、企業内においての弱者です。
上司や先輩、同僚からの言動で傷つき自分を責めてしまいます。
ハラスメント規制法が出来ましたが、企業側の抵抗も大きくまだまだ未成熟な内容となっています。
国際的にもILOが6月の総会で仕事をめぐるあらゆるハラスメントを禁止する条約が採択される方向となっています。
日本も早急に禁止事項や罰則規定を盛り込んだ具体的実効性のある法改正に結び付けていかなければなりません。