パリでのテロと今後
- 2015年11月21日
パリでの同時多発テロで、仏国が「戦争状態である」と宣言しました。
米国と露国両国大統領が話し合いを行い、仏国もさらなる空爆を行っていますが、具体的に戦闘を行っている中心は、米国、英国、仏国、露国の4カ国で、これは中国を除き、第二次世界大戦の戦勝国であり、国連常任理事国であります。
空爆を行っている有志国はそれ以外にも有りますが、先日行われたカナダの総選挙において政権交代を成し遂げたトルドー新首相は、有志連合による空爆から撤退を表明し、前政権の米国追従方針からの転換を図りました。
加国は米国の同盟国であり、過去には仏国の植民地で公用語はいまでも仏語が主流となっていますが、新大統領の大局的に見た一つの大きな判断であると思います。
同じ同盟国であり、「武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久のこれを放棄する。」という国のあり方を憲法に謳っている日本の総理大臣とは大きな違いです。
日米軍事同盟を強化した日本は、米国から「中東での加軍が抜けた穴埋め」を求められる可能性が皆無とは言えませんし、一方、南シナ海より中東情勢の方を優先する米国にとって、まずは、今回のAPECにおいて南シナ海に展開する「公海上の自由航行作戦」の協力を日本に求め、安倍晋三は日米首脳会議において、すんなりと検討をすることを表明してしまいました。
現実に日本の海上自衛隊が南シナ海への監視活動を行えば中国との関係は益々悪化することになります。
また、この間、シリアへの空爆で大きな効果を上げられなかった有志国は、新たな仏・露首脳会議において共同の地上戦を展開することも検討するでしょうし、この地上作戦にはシリアのアサド大統領もプーチンが参加するのであれば、自国での地上戦に合意するかも知れません。
米国が主導権を露国に奪われる形になることは米国そしてオバマ大統領にとって屈辱的な事ですから、米国が対立していたアサド政権を認め、地上戦に参入すると考えた場合、その後方支援・兵站を日本が担うことも想定されます。
いよいよ、ISとの戦争に荷担することになれば、日本国を標的としたテロは現実のものとなってしまいます。
もはやテロは対岸の出来事では済まされなくなり、日本の安全は危機に晒されます。
今まさに、日本の進むべき道を誤らない判断が求められるのではないでしょうか。