輸送トラブルの影にあるもの
- 2013年08月06日
JR北海道において相次ぐ「輸送トラブル」が発生しています。
車両の不具合によるトラブルは、10年度55件、11年度83件、12年度は104件と、トラブルは毎年右肩上がりで増えています。
さらに今年になってからは、エンジン破損、車両軸受けによる加熱などの原因による火災事故が多発しています。
エンジン破損の原因などは未だに明らかになっていませんが、7月6日に起きた「特急北斗」の火災事故は同じ車両のエンジントラブル(スライジングブロックの破損)が3度も続いています。
調査したところ、これらの車両(キハ183系)は昭和63年製で、これまで25年間使用しており、時速130kmでの高速運行では無理がかかっている可能 性があると想定される、その理由として、時速120kmでの走行ではエンジントラブルが無いとのこと。
また、これらのエンジンは制作している工場も少なく、経験則から言うと電化されており、ディーゼル車が少ないJR東日本の整備士よりも、JR北海道の整備 士の方がいまだに車両数の多いディーゼルエンジンとの付き合いが長く、その性質にも詳しいことから、JR東日本の技術的支援はクエスチョンのような気がし ます。
一方、これらの技術を継承する年代が少ないのが問題で、これは、国鉄民営化に伴って新会社JR北海道が運営するにあたり、財政基盤が脆弱なため10年間ほ ど採用を控えていたことに起因しているものと思われ、40代が極端に少なくなっており、技術の継承に支障を来しているようです。
また、整備機材も最新のものではなく、例えばキズを発見する機材は超音波での検査が主流ですが、JR北海道は磁気を利用したもので対処し、部品の在庫も極力押さざるを得ないというのが現状のようです。
先般、国交省に要請に行った際、担当審議官も、北海道は電化が遅れているとも話されていました。
実はJR北海道の同エンジン36両は、国の財政支援によってこの秋から随時買い換える予定だったようですが、事故原因の原因究明が先のようです。
広い北海道において鉄路が大変重要であることは論を待たないにしても、JR北海道の財務状況から全線電化などの抜本的な解決はずーと先に見える目標みたいなもの。
新幹線の札幌延伸より、先にやるべき事が現実として現れたようです。