プラスチックと海洋汚染
- 2018年07月15日
6月23日「環境より経済」という題でプラスチックの海洋汚染について書かせていただきましたが、改めて、世界経済フォーラムがまとめた統計を掲載します。
統計では、まず、プラスチックゴミがリサイクルされないことで、世界全体で年間800~1,200億ドル(9~13兆円)もの経済損失を生み出していると指摘しています。
また、このままでは2050年に海中に漂うプラスチックゴミの量がおよそ8億5,000万~9億5,000万トンに達するのに対して、魚は8億1,200万から8億9,900万トンにとどまり、何とゴミの量が魚の量を上回るという衝撃的な数字を試算しています。
現時点ではどうかというと、すでに1億5,000万トンのプラスチックが漂流しており、2010年には1年間で800万トン、2015年には910万トン、年々増加傾向となっており、その増加率は2010年~15年で年間5.4%、2016年~2025年は6.8%ずつ増加すると予想されています。
そして、この海に漂流するゴミの88%から95%は10本の大河から流れ出ているそうで、その10本とは、長江(揚子江:世界第3位の川)、黄河(揚子江に次ぐ世界第6位の川)、海河(中国華北地方最大級の河)、珠河(長江、黄河に次ぐ大河)、アムール川(中国黒竜江省とロシアに間を流れる世界第8位の川)、インダス川(中国、チベット、インド、パキスタンからアラビア海に注ぐ)、ガンジス川(インド、バングラデッシュ、ネパール、中国を流れインドでは聖なる川とされている)、ナイル川(アフリカを流れる世界第1位の川)、ニジェール川(西アフリカを流れる大河)、メコン川(東南アジアの中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れる大河)です。
これらの地域にある都市部や農村からプラスチックを含むゴミが直接廃棄されるだけではなく、廃棄物業者も川にすてるという、廃棄物の管理システムが出来ていない問題が横たわっています。
一方、イギリスの喫煙関連問題を扱う団体ASH(アクション・オン・スモーキング・アンド・ヘルス)では、タバコのポイ捨ても海洋汚染に大きな影響を与えているというデーターがあります。
世界では年間6億本が消費され、そのうち4.5億本がポイ捨てされ、浜辺や河川でのポイ捨てが海にたどり着き、そのフィルターに含まれるマイクロビーズやマイクロファイバーによる海洋汚染が深刻だと警鐘を鳴らしています。
米国サンディゴ州立大学の研究では水1ℓに吸い殻1本を入れただけで魚の命を奪ってしまう危険性が有ると伝え、ベルギーのゲント大学の研究では、ムール貝やオイスターを好んで食べる人は年間約1万1,000個ものマイクロプラスチックを摂取しているとし、イギリスBBCの分析では約2,200個が摂取されていると発表しました。
6月23日のブログでは、世界がプラスチックの海洋投棄やマイクロプラスチックを含んだ製品の製造禁止を開始しましたが、日本は経済が停滞するという理由で努力義務としてしまいました。
海洋汚染は、四方が海に囲まれている水産大国、北海道にとっても重要な課題です。
データーが語る現実を、皆さんはどのように受け止めるでしょうか。