マイナポータルの危険(ブログ3745)
- 2024年11月15日
自治体情報政策研究所代表の黒田満氏が、マイナンバーを利用した個人情報のプロファイリング化に対して警鐘を鳴らしています。しんぶん赤旗にその記事が掲載されていましたので、再掲します。<マイナンバー制度を強要する理由は、様々な個人情報を収集・名寄せし、コンピューター上などで仮想人物像を作り出し、ある基準で評価、分類、選別、等級化(スコアリング)や排除をする「プロファイリング」と結びつける事が狙い。・・・中略・・・マイナ保険証を利用するには、政府のオンラインサービス「マイナポータル」を使って利用登録を自身で行う必要があります。マイナポータルでは、自分の医療や健康、介護や所得、税金など様々な個人情報が閲覧出来ます。これらの情報は、マイナ保険証のシステムやマイナンバーカードを使って国の行政機関や自治体、日本年金機構、健保組合から集められるものです。
マイナポータルは、表示された個人情報を自らの意思で民間サービス等に提供できる機能を持っています。企業等が個人情報を取得するのは法律上、本人の同意が必要ですが、その同意を得る仕組みとしてマイナポータルが使われています(私:つまり、マイナポータルを登録した事によって、同意と見なされるということか)。
まだ一部ですが、大手保険会社ではマイナポータルから得た健康情報で生命保険料の査定をしており、金融機関では所得情報を融資の審査に使っています。
さらに、マイナンバーカードを活用した「官民共同利用型キャッシュレス決済基盤」を使えば、今後「民」が集める行動や購買の履歴などの個人情報と「官」が持つ個人情報を合わせた詳細な個人評価のための「信用スコアー」を算出できます。>と記載されています。
決済で現金がほぼ利用できない中国では、「カードや各種ペイ」で既に国民のスコアリングやプロファイリングが行われていることは、数年前のNHKスペシャルでも紹介されていました。
米国でも、2016年の大統領選挙ではフェイスブックから得た個人情報を不正に利用し、選挙で共和党の支持者を増やし選挙結果を左右したと報じられましたし、従業員の得て・不得手や趣味、感情などの情報を収集し、それを基にした配置や解雇、昇級の検討に使用する企業もあると言うことです。
また、日本の一部企業でもスマートウォッチなどのウェアラブル端末で従業員の心拍数、血圧、発汗などの健康状態を管理し作業効率を上げる指示を出すなど労働強化の手段ともなっている事例もあると聞きます。
欧州連合では、個人情報保護法である「一般データー保護規則(GDPR)」によってプロファイリングされない権利を保護していますが、日本ではこのような規制はまだありません。
個人情報を保護するためにも、紙の保険証を残すことは勿論のこと、個人情報に関わる新たな規制を早急に制度化することが望まれます。