ルール無視の冒頭先議(ブログ3140)
- 2023年02月16日
道議会の本会議前日委員会が開催され、明日から始まる第1回道議会定例本会議に付議される議案について、各委員会ごとの事前説明が行われました。
今回の議会も、開会冒頭に知事の提案による補正予算の先議が行われます。
総額約170億4,832万円で、内容は、この間も指摘してきた新年度に関わる「債務負担行為」や「繰越明許費」です。
年度当初に執行する予定の事業予算を、あらかじめ年度内に議決する、あるいは年度がまたがる事業にあらかじめ予算を議決しておく場合に行われる財政手法ですが、補正予算で示された8事業のうち、5事業が新年度に行われる新規事業となっています。
つまり、新年度の新しい事業に対し現年度の内に予算を計上し議決しておくという訳の分からないことをやろうとしています。
問題は4つあります。
第1に、各事業の執行は年度明け後であり、急施を要する(急ぐ)必要がないにも関わらず、通常の補正予算とせずにあえて冒頭先議を行うと言うことです。先議にした理由が明らかではありません。
第2に、今年は統一自治体選挙が4月に行われ、鈴木知事はこの選挙に立候補することを明らかにしています。しかし、今の段階では新年度以降の予算に執行権を有する2期目の知事とはなっていないことです。通常は、新年度の経常経費として支出する当面の必要経費のみを予算計上するものです。にもかかわらず、5項目の政策予算(新規事業)をこの段階で提案するとは、越権も甚だしいと言わざるを得ません。既に選挙に勝ったつもりなのでしょうか。
第3に、このような手法を見ている基礎自治体の首長は、「道でもやっている。」として、同じように自身の選挙前に自分の政策に関わる予算を議決してしまうことが起きると言うことです。既に函館市が同じような事を行い市議会で問題になりましたが、町村の首長は「道も函館市もやっている」と正当化し始めています。
第4は、これらの予算は選挙前の「バラマキ」に繋がるということです。当然、現職に有利にはたらき、公平とは言えません。
鈴木知事が提案する補正予算の冒頭先議は、このようなルールを無視してまでもという確信犯であり、清新さを投げ捨て「政治屋」としての顔を見せ始めたものと受け止めます。
ちなみに、政府は15ヶ月予算という訳の分からない予算を計上していますが、地方自治体に15ヶ月予算という財政手法はありません。