ワクチン拒否への圧力(ブログ3240)
- 2023年06月06日
滋賀県の甲賀広域行政組合消防本部(甲賀市)が、2021年、新型コロナウィルスのワクチン接種を受けなかった30代の職員に対し、職場の上司が所属していた警防課と同じ階の廊下脇に有るスペースで勤務することを求め、更衣室の使用も制限、現場への出動以外は私服での勤務を強い、職場内での行動記録を提出することも要求、更に消防本部は「ワクチン接種拒否者への業務区別」という内部文書を作成し、名前こそ記してはいませんが、職員の執務場所や業務内容を盛り込んだ上で、全職員や来庁者などとの接触制限を各所属長に求め、全職員に回覧したことが毎日新聞に掲載されました。
彼は以前、「インフルエンザワクチン」接種で副反応がでた経験があり、上司に新型コロナウィルスワクチンを接種しない意向を伝えましたが、「強制では無い」とされながら、次の接種日程を告げられなど、日々重圧を感じていたといいます。
この職員は、この処遇を受けながら4ヶ月ほど職場に身を置きましたが、一連の対応に耐えられず退職してしまいました。
その後、消防本部に対応を疑問視する投票があり、顧問弁護士や消防本部の幹部らが内部で検証しましたが、問題なしと結論付けました。一方、このことが総務省消防庁の知る所となり、問い合わせがあったことから、再検証することになったとのこと。
ワクチン接種は自己が判断するものであり、そのことで人権が侵されることがあってはならない事は当然です。しかし、流行初期は未知のウィルスへの恐怖心から過剰なまでに他人への干渉がなされたことも、少なくありませんでした。
しかがって、このような問題は、数多くあったのでは無いかと推察されますが、表面化せず闇に葬られてしまった気がします。
上意下達の制服職場、そして救急も受け持つ最前線のエッセンシャルワーカーだったことを考えると、この職員の心情は忸怩たるものだったと思います。
上司を含めて全ての職場は、働く一人ひとりの健康や内心に十分に配慮することが求められることを、この事件は改めて私たちに示唆してくれました。