世界的影響と風評
- 2021年04月23日
ドイツのヘルムホルツ海洋研究センターでは、フクシマ第1原発の汚染水について「海洋放出から57日で太平洋の半分を汚染し、3年後には米国やカナダまで到達する」とした研究結果を発表、さらに「放射性物質が含まれた汚染水がひとたび海に放出されれば、どんな影響があるのか?まず、日本の太平洋沿岸海域、特に福島県周辺の水域が影響を受ける。その後汚染水は東シナ海を汚染する」と説明しました。
そして周辺国は一斉に反対の意思を明らかにしています。
中国は、「日本政府の決定により各国により日本産海産物の輸入が中断され、外国人の日本訪問が減少するだけでは無く、中国経済にもダメージを与える」、「中国は周辺国と力を合わせて日本政府を相手に訴訟を起こし、決定の撤回や賠償を要求する可能性が有る」とコメント。
韓国は、「周辺国の安全と海洋環境に危険を招くだけでは無く、日本の最隣接国である我が国と十分な協議および了解無しに行われた一方的な措置である」とし、台湾もロシアも懸念を表明しています。
今回、日本の海洋放出を支持した米国では、東日本大震災の2011年3月から現在まで10年にわたり事故現場付近で生産される農水産物の輸入を禁止しています。
「放射能汚染を理由に日本産製品の輸入を禁止する輸入禁止令99ー33」では、具体的に輸入禁止区域と農水産物100種類を規定しており、禁止区域は福島をはじめ青森、千葉、群馬、茨城、岩手、新潟など14カ所を、禁止農水産物は牛乳、乾いた乳製品、野菜、キウイ、キノコ、牛肉、家禽、ウニ、鮭、ウナギ、クロソイ、タラ、貝類などが含まれています。
また、禁止令は「物理的検査を必要とせず、福島などの特定製品を留置できる」として、検査をせずに留置したり輸入を拒否する事を規定しています。
米国も、二枚舌を使っており、本音と建て前を使い分けています。
また、今年3月時点においても15ヶ国・地域で原発事故に伴う日本食品の輸入規制が続いています。
国内の消費者意識でも、2013年の実態調査では、食品の放射性物質を理由に購入をためらう産地として「福島県」と回答したのが19.4%にのぼり、今年の調査では8.1%となったものの10年を経てもなお風評が根強く残っています。
「風評」は科学的根拠を必要としません。
風評は人の心の中に刻まれるもので、科学的エビデンスを最重要視する米国にあっても、「輸入禁止令」では物理的検査を必要としないと断言しています。
これでも、政府は海洋放出を強行するのでしょうか。
菅氏のままでは、本当に日本が滅んでしまいます。