両国民は納得しているのか
- 2016年01月15日
昨年末、日韓外相会談において「慰安婦問題」について合意をしましたが、年明けになって、双方が合意した内容にすきま風が吹き、違った方向に向かっていることが段々明らかになってきたようです。
日本政府は、「①軍の関与と多数の女性の名誉と尊厳を著しく傷つけた責任を痛感する。②韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設置し、この資金を一括日本が負担する ③このことによって最終的かつ不可逆的解決とする ④今後、国連など国際社会において、本問題について互いに非難、批判することを控える ⑤合意により、ソウルの日本大使館前の少女像は適切に移転されるものと認識している ⑥ユネスコ世界遺産への従軍慰安婦問題に関する資料登録は韓国政府が加わることがないと認識している。」と発表、日本国民もそのように理解しています。
一方、韓国政府は、「①日本政府が、今回の発表に至るまでに行った努力を評価する ②日本政府が表明した措置を着実に実施することを前提に協力する ③このことによって不可逆的に解決することを確認する ④日本政府と共に、今後、国連などの国際社会で本問題について互いに非難、批判を控える ⑤日本大使館前の少女像については韓国政府としても関連団体との協議などを通じて適切に解決するよう努力する」と発表し、新聞報道では⑥について特にコメントは有りませんでした。
しかし、この両国政府の確認について、韓国国民、とりわけ元慰安婦支援団体である民間の「韓国挺身隊問題対策協議会」は納得せず、より批判を強めています。
そして、少女像の増設などの全国行動を実施することを表明し、日本政府が拠出する10億円の支援金を拒否、国民の募金で財団を立ち上げることを発表、国際的にもシンポジウム等を開催し、この問題をアピールするとのことです。
このことを見ても、韓国国民は今回の両国合意について批判的であり、先々に火種を残したままとなっています。
更に14日、自民党の桜田義孝元文科副大臣が「職業としての娼婦であり、ビジネスだ。犠牲者のような宣伝工作に惑わされすぎている。」と発言、その後も、「職業としての売春婦と言うことを(主張するのに)遠慮することはない。」とダメ押し発言をし、韓国政府からも強く非難されましたし、韓国国民からも日本国民の思いだと誤解されてしまいました。
私は、今回の日韓両政府の合意について、何も新しい事は無く、安倍晋三が壊してしまった韓国との関係について、単に「村山談話」に戻っただけだと思っておりますから、安倍晋三を批判しても、その成果ではないとの認識です。
結局、安倍晋三がこれまで行った韓国への対応は、根深く韓国国民の心に刺さったままで、今回の合意も何の解決にもなっていないということです。
両国政府の安倍晋三と朴大統領は満足しているかも知れませんが、両国国民、とりわけ、被害者である韓国国民はより強く慰安婦問題について反撃してくることでしょう。