中国がTPP?
- 2021年09月19日
中国がTPP(環太平洋連携協定)に参加する意向を示し、申請書を事務局を担うニュージーランドに送付したという報道がありました。
2013年、安倍氏がTPP交渉に参加することを表明、以降、国会だけでは無く国民的議論となり、安い農畜産物が輸入されることから都市部では加入に賛成、逆に農畜産物を生産する地方は加入に大反対、一次産業が自動車産業の犠牲になるという危惧から、野党の追及も激しさを増し、衆院農水委員会で決議をあげました。
その後の総選挙で自民党は「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。日本を耕す自民党」というポスターを全国に貼りだし、一次産業関係者を欺して総選挙に勝利。
与党は選挙に勝利したことを免罪符とし、総選挙後もTPP閣僚会議に出席を続け、2015年にはTPP協定を大筋合意。
2016年にはTPP協定に署名、その後の選挙では「TPP『聖域守れた』ゼロ」というポスターを貼りだし、重要5品目:米、小麦、牛・豚肉、牛乳・乳製品、甘味資源作物は無傷のように宣伝、しかし、一定量の輸入や、関税引き下げ率も時限が決められるなど全く見傷では無く、国会決議を踏みにじる暴挙を行いました。
結局、米国への最大限の配慮をしながらも、トランプ大統領はTPP不参加を表明、2017年には米国を除いた11各国でTPP11の大筋合意を行い、2018年にTPP11の正式署名、この年の12月に協定が発効しました。
このTPP11への参加については農畜産物の供給基地である北海道への影響が大きく道議会でも数年にわたり審議が繰り返されました。
その後、欧州とはEU・EPA(経済連携協定:エコノミック・パートナーシップ・アグリーメント)、米国とのFTA(自由貿易協定:フリー・トレード・アグリーメント)を締結、今は、TPPに加入していない韓国や中国を含めたRCEP(地域的包括的経済連携協定:リージョナル・コンプリヘンシブ・エコノミック・パートナーシップアグリーメント)の交渉中です。
中国は、RCEPで、TPPに参加しているASEANをはじめ15ヶ国との経済協定を進めているにも関わらず、ナゼ今TPPなのでしょうか。
さて、TPP11やEU・EPA、日米FTAの発行により、日本の食糧自給率は確実に減少しています。
そして、一次産業へのリスクや自動車産業のメリットはどうなったのか、相変わらず検証はされていません。
今でも現実的に食料輸入量(野菜等)が大きい中国とのTPPは、我が国として何のメリットがあるのでしょうか。
一方、中国産の食材は、肥・資料や農薬、食品添加物などを中心にその生産過程が不透明でなかなか安心ができません。
そして、これ以上の食料の輸入は自給率低下に拍車をかけ、食料安全保障が大きく揺らぐことになります。
平時の時でさえ、日本人の食料は自賄いできていないのです。