中曽根氏の合同葬
- 2020年09月29日
中曽根康弘元首相の自民党と政府による合同葬が問題になっています。
合同葬と言う事で、総費用1億9,200万円の二分の一に当たる9,600万円を政府が負担することに対する疑問の声が大きく、批判が相次いでいます。
政府はこの支出を予備費で賄おうとしていますが、コロナ対策予備費はさすがに充用できなく、一般的に計上している当初予算の予備費から支出する考えのようですが、政府が支出すると言うことはあくまでも税金であるということです。
これまでも、首相経験者の合同葬を行ってきたと言うのが政府の言い訳ですが、この言い訳はあまり説得力が有るとは思えません。
日本には国葬を行う法的根拠がありません。
戦前は国葬法がありましたが、戦後は廃止され内閣の閣議によって例外的に対処されたのが1例だけ、「内閣総理大臣・吉田茂氏」だけで、その後はありません。
その時は、当時の総理大臣佐藤栄作氏の強い要望により閣議で決定されたという特殊なものであり、新憲法での政教分離に抵触することから宗教色を薄める形で行われました。
国葬の場合は費用の全額が支給されることから法的根拠が必要となりますが、これまでの合同葬も、今回の中曽根氏の合同葬も国費の支出という点では問題が残ります。
どのような功績を残した首相であっても、必ず負の遺産も残しています。
中曽根氏も同様に、就任期間中は様々な問題を醸し出しました。
個別・具体の評価にはそれぞれ賛否もあることから触れませんが、全ての国民が諸手を挙げて中曽根氏を支持してきたわけではありません。
これまでは自民党の力業で実施してきたかも知れませんが、合同葬といえども国費を支出するからには、多くの国民の支持が無ければならないものと思います。
賛否が渦巻く中での強行は、何より葬送される方はもちろん家族にとっても心苦しいものでは無いでしょうか。
これからは、故人となった政治家の「葬送」はその方に心を寄せる方々だけで行う事の方が良いのでは無いかと思います。