中止の英断を
- 2021年07月03日
テレビの番組やCMが、待ちきれないように五輪状態になってきました。
スポーツニュースは、エンジェルズの大谷翔平選手の活躍とプロ野球以外は、五輪代表選手の確定や、個々の選手の特集などの占める時間が多くなり、スポンサー企業は、所属選手や契約選手を起用したCMを流し始め、五輪への高揚感を否応なしに煽っています。
一方、コロナの感染状況は関東圏を中心に日に日に増え続け、このままでは蔓延防止等重点措置の発動や、場合によっては緊急事態宣言が発せられる可能性も大きくなり、上限1万人の有観客から無観客への判断も現実味を帯びています。
「コロナに打ち勝った証としてのオリンピック」という強弁は今や虚ろに響き、「コロナに翻弄され、敗北した結果のオリンピック」という言葉がぴったりの様相となりつつあります。
JOC元理事の山口香氏は「オリンピック・パラリンピックは『競技会』では無く『祭典』だ。世界の人々が交流し、応援し、喜び合う。ところがその交流が『してはいけないこと』になってしまった。声援もダメ、抱き合って喜んでもいけない。本当に競技をやるだけ。まるで笑うことを禁じられた『お笑い番組』のようで、やりきれない。」と毎日新聞のインタビューに答えています。
そして、国民の感情を最も逆なでするのは、五輪選手や関係者を国民とは別の特別扱いとするダブルスタンダードを容認することです。
午後9時までには自宅に戻りましょうと電車の終電を前倒ししていますが、五輪期間中は試合終了が遅くなるからと午前2時まで終電を遅らせ、会食は4人以下それも同居の家族としていますが、五輪関係者は個室であれば何処のレストランでも自由に出入りとなり、コンビニもフリー、部屋飲みもOKです。
また、国民の場合は濃厚接触者は自宅待機ですが、選手の場合は濃厚接触者であっても競技に出場することが出来る・・・等々、自国の国民には我慢を強いておきながら、外国からの参加者と五輪ファミリーには「お・も・て・な・し」をしっかりと推し進めようとしています。
こんなダブルスタンダードが開催中に認められるとすれば、いかにおとなしい日本国民でも感情が爆発しかねません。
それは、政府の要請を無視するということで表面化します。
飲食店は自粛を止めてフルオープンとなるでしょうし、そこには大声で騒ぐ客が溢れ、深夜まで路上で大騒ぎが繰り広げられるでしょう。
ましてや、政府が期待している連日のように日本選手団の活躍によって金メダルがうまれ、日の丸が揚がれば、否応なしに人が集まりドンチャン騒ぎとなるのは必定です。
そこに、オリンピックフリーになっている外国人が加わり、変異型ウイルスのスーパースプレッダー(通常よりも大量のウィルスをまき散らし、多くの人を感染させる保菌者)が居れば、その場所はコロナウィルスの坩堝と化し、オーバーシュート(爆発的な患者の増加)を招きかねません。
政府が無観客を判断しても、おそらく同じような事が起こるでしょう。
国民の安心・安全のためには、躊躇無く「中止」すること以外にありません。