五輪景気はゼロ?
- 2016年05月09日
東京オリンピックのエンブレムも決まり、2020年に向けて多くの国民が高揚感と熱気に包まれているかといえば、その気配もなかなか感じません。
52年前の東京オリンピックの時、私は10歳でしたが、その時は、日本の高度成長と国威発揚が功を奏し、日本中がオリンピック一色になって準備に勤しんだものでしたが、時代の変化と共にオリンピックへの受け止め方にも変化が出てきたように思われます。
東京オリンピック誘致に多額の金を使い、安倍晋三は「フクシマはアンダーコントロールされているから安心だ。」と言いましたが、これが彼の「国際的嘘」の始まりでした。 一旦決まったザハ・ハディド氏設計の国立競技場は建設費が膨大になるからと設計のやり直し、おまけにエンブレムまでも盗作の疑いが出て公募のやり直し、新たな国立競技場の設計には聖火台の設置場所まで忘れられていました。
そして、IOCに提案した「コンパクトオリンピック」3,500億円の開催経費は青天井となり、今や2兆円近くまで膨らんでしまいました。
会期中のプレスセンターに決定をしている「東京ビッグサイト」は、事前の準備から7ヶ月間、一般使用が出来なくなることから展示会の中止などの売り上げ約4兆円が消滅することになる等の事態が生じましたが、これまで誰も責任を取りません。
そして、期待されていた「オリンピック景気」も全く起きてはいません。
英国「エコノミスト誌」の元編集長ビル・エモット氏が「日経ビジネス誌」で、東京オリンピックの経済効果について次のように述べました。
「東京オリンピックが日本にもたらす経済効果はゼロに等しいだろう。まず、500兆円に及ぶ経済規模を誇る日本経済にとって1ヶ月程度のスポーツイベントの経済効果は微々たるもの。さらに、世界中から訪日客は来るが、混雑を嫌う観光客も多く、トータルでは増えない。これは、12年のロンドンの時もそうだった。また、投資効果への疑問だ。過去のオリンピックを検証すると、投資効果はほとんど得られていない。他に資金を回した方が有効だろう。」と言っています。
そして、建設に関わる資機材と人材は国策であるオリンピックが優先され、東北の復興、そして熊本県や大分県などの復興にも大きな影響がでることが懸念されます。
今の日本に、オリンピックをやる意義、そして気概と責任が果たして有るのでしょうか。 そして、一向に解決していない福島原発事故に蓋をし、社会保障費を削減してまでも世界にいい顔をしたいのでしょうか。
過去にオリンピックを開催した国の財政は今どのように成っているのかと思えば、04年アテネ開催のギリシャは財政破綻ギリギリの状態、08年北京開催の中国も不況にあえぎ、12年ロンドン開催のイギリスはユーロ債務危機と自国の財政危機を抱えています。 そして、16年、今年リオデジャネイロ開催のブラジルは既に不況に陥り、入場チケットが50%以上も売れ残こり、国民は「オリンピックより国民の生活を」と連日デモを行うなど、オロンピックを開催した国はどこも深刻な経済不振に陥っています。
日本も負債が1,000兆円を超えており、ギリシャも足元に及ばない世界第1位の債務超過国となっています。
誰かが責任を持って、真のコンパクトオリンピックにしなければなりません。
そして、札幌冬季オリンピックへの立候補も熟慮して結論を出すべきです。