人体の不思議展
- 2011年02月06日
2月1日、京都府警は、「人体の不思議展」を死体保存法違反で告発するという告発文を受理したという記事が新聞に載りました。
私も数年前、札幌で開催された同展を見学しました。
死亡後の人体を、プラスティネーションという技法により、組織液を合成樹脂に置き換えることによって臓器を腐らない状態でしかも生々しく長期間保存できることが可能となり、この技術を開発したドイツのグンター・フォン・ハーゲンス医師が設立した団体により、1995年から世界各地で商業展示が行われるようになった展示会です。
ハーゲンスは、その後、中国の大連において、会社を設立・所有し、同地で死体加工工場を経営し大量の死体標本を制作しましたが、工場に勤務していた中国人がその技法を模倣し独自に標本を制作しはじめ、双方の制作に利用された死体が非合法的に調達されているという疑惑が持ち上がっていました。
フランスでは09年裁判所が、パリで開催されている人体展の中止を命ずる判決を出し、国内においても生命の倫理に観点から様々な抗議が行われ、京都の場合もその一つとなっています。
死体保存法第19条では、「前二条の規定により保存する場合を除き、死体の全部又は、一部を保存しようとする者は、遺族の承諾を得、かつ、保存しようとする地の都道府県知事(地域保険法(昭和22年法律第101号)害5条第1項の政令で定める市又は特別区にあっては、支庁又は区長。)の許可を受けなければならない。」とあります。
「人体の不思議展に疑問をもつ会」では、実物の死体を標本として一般公開し、日本全国を巡回している営利的展示であることから、この展示の倫理性に疑問をもち、問題を追及しており、死体のこのような利用は、単に個々人の尊厳を冒涜するにとどまらず、人体の利用についての社会的倫理性にも影響を及ぼす問題で、すべての人が、この死体を見せ物とした興業に関与することがなくなることを願っています。・・・とコメントをしています。
先ほども述べましたが、私が札幌で体験した展示会は、「脳」に直接触れ、その重さを実感することが出来たり、妊婦のお腹や胎児の成長過程などの他に、皮膚を剥いだ筋肉や血管だけを取り出したものなど、最初は興味もありましたが、観覧後はとても嫌な気分になったことを思い出します。
それは、まさしく一般に公開するものではないという心の拒否感だったような気がします。