今のままで海洋放出?(ブログ3157)
- 2023年03月05日
政府は相変わらず、福島原発事故の処理水(?)の海洋放出を計画通りに進めようと海底放出管の敷設作業を推し進めています。
放出には、「関係者の理解が無い限り、いかなる処分も行わない。」と約束した事が、まるで無かったことのようです。
関係者の心配は、これまで苦渋を強いられてきた「風評被害」が今後も続くことになれば、福島県の漁業は存在できなくなるだけでは無く、日本の漁業が壊滅的な打撃を負う、という事であり、自分の収入などという個人的なものではないのです。
今、福島県では原発事故以降、「試験操業」が行われています。
試験操業では、対象となる魚種や操業海域、漁法、操業期間、操業時間等が漁業関係やの合意によって決められ、獲れた魚介類にはモニタリング検査を実施し、放射性物質の値が自主基準値以下などの、安全が確認された魚種に限って出荷されています。
しかし、それは、販売先の理解と需要回復が頼りの取組で、相変わらずの出荷自主規制が続いています。
2010年、原発事故前の、福島県の沿岸漁業漁獲量は25,914トンでした。
それが事故後の2012年では125トン、13年:40トン、14年742トン、15年:1,512トン、16年:2,099トン、17年:3,280トン、18年:4,010トン、19年:3,640トンで、やっと事故前の14%にとどまっています。
事故から10年が過ぎた現在、浜ではやっと水揚げを本格的に増やしていこうとしていた矢先の海洋放出です。
地元の漁師は、「息子達に後を継がせようと船の操縦や、魚探の見方、漁の方法などを教えているが、漁に出られなかったら後を継がすことが出来なくなる。賠償金があればという話では無い。」と憤っています。
また、漁はその季節によって漁場も異なり魚が生息する水深も異なりますから、年間を通じてフル操業していかなければ、漁師は1人前にはなりません。
さらに、魚が獲れなければ、仲買人を含めた市場の流通関係者や加工業者にも大きく影響しますが、継続的な賠償は16年に打ち切られてしまいました。
また、賠償には「相当の因果関係」の証明が必要で、19年には申請の約900件に対し、決定が14件でした。
処理水は今のままでは貯蔵できなくなる、という現実は理解しますが、その事で漁業を犠牲にして良いと言うことにはなりません。
「今の敷地には限界が有る」と言われますが、敷地計画の代替え案を真剣に検討すればまだまだ地上管理が出来るのでは無いかと思います。
その間にALPSの性能技術を向上させ、トリチウムも含めた放射性物質の完全除去に方向性を求めるべきでは無いでしょうか。