今夏の電力事情は
- 2012年03月27日
いよいよ5月5日に泊原発3号機が停止し、1989年の1号機から始まった北海道の原発の火が消えることになります。
私たちが長く望んで実現しなかったことが、今、現実のものとなるのです。
原子力ムラや原発を動かしたい方々は、「原発が稼働しなければ夏に電力不足になる」というプロパガンダを行っています。
昨年夏の東電というオオカミ少年、この冬の北電というオオカミ少年を私たちは冷静に見てきましたが、この夏に向けて同じようなオオカミ少年が、また出てこようとしています。
先般、私たち北海道議会 民主党・道民連合「原発からのシフトをめざすプロジェクトチーム」で、この夏、北海道は本当に電力不足に陥るのかという試算を行いました。
この試算で使用している数字は、国のエネルギー環境会議、北電などが公表しているものです。
二つの条件で試算を行いました。(①②共に泊原発は全て停止の場合です。)
①今年の夏が一昨年の記録的猛暑だった場合
・最大需要 506万kw
・供給力 474万kw
・不足量 32万kw
②今年も昨年のように平年並みの暑さだった場合
・最大需要 485万kw
・供給力 474万kw
・不足量 11万kw
何も手だてを講じなければ猛暑の場合は32万kw、平年並みで11万kwの不足が生じますが、国を含め、道や北電も出来る対策を打つことになります。
ア)国の対策
・補正予算を組み、再生可能エネルギーを全国で115万kw導入。
これを、エネ庁HPの数字を用いて按分すれば北海道分として、6.5
kwの供給力が増量します。
イ)北海道の対策
・本庁舎および振興局において3%の節減を実施すると共に道民にも3
%の節電をお願いすることによって、14.5万kw需要が減量します。
ウ)北電の対策
・大口の需要会社とは、ピーク時等における需要抑制を図るために前
もって需給調整を北電が行うことを契約に盛り込んでいる需要調整契
約が有り、この拡大を行うことによって9万kwの需要が減量します。
・IPP(独立系発電事業者)からの電力購入で7万kwの供給力の増量
※対策を講じた場合
①猛暑時:最大需要506万kw-節電14.5万kw-需要調整拡大9万 kw=482.5万kw
供給力474万kw+再生可能エネ6.5万kw+IPP7万kw
=487.5万kw
供給力487.5万kw-最大需要482.5kw=5万kw予備力
②平年並:最大需要485万kw-節電14.5万kw-需要調整拡大9万 kw=461.5万kw
供給力474万kw+再生可能エネ6.5万kw+IPP7万kw
=487.5万kw
供給力487.5万kw-最大需要461.5万w=26万kw予備力
猛暑時においても5万kwの予備力を持ち、平年並みにおいても26万kwの予備力を持ちます。
さらに、北電は火力発電所11カ所・水力発電所53カ所+他社35カ所を所有し、その平均稼働率は約43%から46%程度となっています。
これらを60%、70%の稼働率にすれば、定期点検分も含めて供給力は格段に増量し、十分対応可能と試算されますが、北電は個別発電所の稼働状況や点検計画を公表しておりません。
今後も、道を通じて情報の開示を求めていかなければなりません。
現在、様々な方々が電力不足を心配し、試算をされておられると思いますし、考え方や数字の置き方で、導き出される結論にも違いが出てきます。
私たちプロジェクトチームの試算も、その「一考察」として受け止めていただければと思います。
国民はもうオオカミ少年には騙されません。
少なくても北海道民はそうありたいです。