企業の内部留保
- 2013年04月09日
大手企業100社の内部留保(利益余剰金)が99兆円になったとの報道がありました。
リーマンショックの09年に90兆円に落ち込みましたが、除々に増加し、11年3月末には08年の95兆円を抜き、そしてついに100兆円になろうとしています。
しかし、この内部留保額は上位100社の大企業のみとなっていますが、国内には数え切れないほどの企業が存在し、ちなみに、資本金1,000万円以上の企業は108万社、全営利法人では275万社もあるそうです。
財務省企業統計調査によりますと、資本金10億円以上の企業の内部留保は200兆円、一般に、国内企業全体ではおよそ400兆円の内部留保が有るとさえ言われています。
これだけの内部留保があるのにも関わらず、黒田日銀総裁は270兆円もの金融緩和を行うことを発表しました。
私自信、経済のことは詳しく解りませんが、400兆円もの資金がだぶついているわけですから、日銀が国債を買い戻し、金融機関に金が流れても、内部留保を抱える企業が利息を払ってまで金融機関から資金を借りることになるとは思えません。
これまでは、貸しはがしや貸し渋りで零細企業の資金繰りが大変だったわけですが、今度は「押し貸し」が横行し、必要ないのに「借りてくれ」と金融機関が頭を下げる番が来たということでしょうか。
行き場の無い資金は不動産や株などに流れる。いつか来た道、バブルの道です。
一方、400兆円の1%、4兆円あれば、年収400万円の労働者を1年間、100万人雇用することが出来る計算になりますし、300万円ですと約133万人、200万円ですと200万人ということになる大きな金額です。
せっせせっせと内部留保をし、株主配当に血道を上げ、片や、会社を支えている社員の賃金はカット、正規労働者から非正規労働者に転換、派遣労働者を都合良く利用してきた経営者。
最近は、円安の恩恵を思う存分に受けている自動車業界や、独特の会計方式でオーナーを苦しめているコンビニやチェーン本部、労働者を食い物にしているブラック企業などが本社社員の賃上げや賞与の増などを行っていますが、社会全体に行き渡るのには多くの時間が必要となってきます。
景気が悪いときは、社員に「我慢してくれ」とか「賃金より雇用だ」と言い、景気が良くなると、「悪くなった時のために使う」とばかり、労働者を調整弁にしてきた結果が内部留保400兆円です。
それでもなお、経営者はさらなる雇用の流合化を求めています。