佐渡金山
- 2022年03月08日
「佐渡金山」の世界遺産推薦について、自民党の中には朝鮮人などの強制労働問題などは関係なく、江戸時代に限定した金の採掘と製錬技術で評価すべきと主張しています。
しかし、世界遺産の登録は時代の一時期を区切って認定するわけではありません。
ユネスコの世界遺産委員会やICOMOSが世界遺産として推薦国に求めるのは、「各サイトの歴史全体についても理解できる計画とすること」としています。
日本の産業革命遺産として長崎県の「軍艦島」が世界遺産に認定されましたが、ICOMOSは軍艦島における朝鮮人などの強制労働の実態を、見学者が理解できるようにパネル展示などで説明することを求めていますが、政府はそれを履行しようとしていません。
そして佐渡金山についても、それらの実態を糊塗しようとしています。
さて、日本は自然・文化の世界遺産を、観光の新たな資源としか見ていないように思われます。
昨年は、北海道と北東北3県の「縄文文化遺産」が世界文化遺産に認定されました。
「日本には歴史上類を見ない、狩猟や採集を中心に一カ所に定住して精神文化も育み、1万年以上も続いた『縄文文化』がある。」そのことが広く国内や世界中に広まり、興味を抱いて訪れていただき、研究を深めていただくことにこそ、世界遺産登録の異議があると思います。
また、世界遺産とは、「自然遺産および文化遺産を人類全体のための重要な遺産として、損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するために国際的な協力および援助の体制を確立することを目的とする。」と言われています。
世界遺産はその保護を目的とし、人類全体の利益のためのものであり、国益のためのもでは無いと言うことです。
そしてそれは、誇るべき部分も負の部分も包含した隠すべきことの無い事実の全てを対象とするものだと思います。
政府が国益のために負の部分を削除して、装いだけで世界遺産登録を目指すというのは、この世界遺産の目的から外れた、全く論外の感覚だと思います。