保育の現場(ブログ3176)
- 2023年03月24日
政府は、岸田氏の「次元の異なる少子化対策」の一環として、そのたたき台を今月末にまとめることとし、その一部を明らかにしました。
保育については、従来「保育に欠ける子」、すなわち、仕事で子どもの面倒を見ることが困難、病気や病弱で子育てに支障をきたすなどの理由が無ければ、保育所に預けることが出来ませんでした。
それが、夫婦供稼ぎや女性の社会進出が当たり前になってきてからは、「保育が必要な子」となり、条件が緩和されましたが、この度、短時間利用も含めて、親の就労状況を問わずに保育所を利用できる事になりました。
そのことによって、全ての子どもに保育を受けられる「国民皆保育」の権利が保障されたことになりますし、親にとっても、保育所利用の条件が取り除かれたことで、子育ての負担が取り除かれることになります。
その他には、出産後の「育児休業給付金」の受給範囲を非正規労働者まで拡大することなどで、詳細については今月末までにまとめるということです。
今後は、子育てサロンなどを充実することで、初めての子育ての不安を解消したり、同じ子育てをしている母親同士の繋がりがより一層期待できます。
一方、受け入れする保育所では、今でも様々な課題が解決していません。
保育士の配置基準は、戦後まもなく1948年に定められ、一部の年齢では見直しが行われましたが、4歳児以上は70年以上経っても当時のままとなっています。
現在の基準は、0歳児3人に対し保育士1人、1・2歳児は6人に1人、3歳児は20人に1人、4・5歳児は30人に1人となっていますが、これでは、園児に対して十分な対応は出来ないのは明らかです。
想像してみて下さい。子ども達は「右向け右」とはなりません。一人ひとりが「自分のやりたい気持ち」のままに行動します。
そして、月齢によっても成長度が違い、自我も目覚めます。あなたは30人の4・5歳児を1人で面倒が見れますか? そうでしょうこの配置基準では、トラブル無く子ども達の安全に配慮し、体調の変化にも目配せすることは不可能だと思います。
しかし、保育士を増やさないで配置基準だけ見直したなら、保育所が定数通りの園児を受け入れる事は出来ません。
保育が権利となった場合は、配置基準を見直すと供に定数に見合うだけの保育士の増員が必要ですが、保育士の賃金・労働条件は十分ではなく、若い保育士は都市部の条件の良い保育所に就職してしまい、地方の保育所は常に人手不足となっています。
保育士の所得を手当で誤魔化さず、基本給を底上げすること。そして不規則な週休二日制の是正と休暇取得の柔軟さが保育士不足の解決方法となります。
次元の異なる少子化対策のしわ寄せが、保育所や保育士に向けられないよう、政府はマンパワーの増員と所得の向上、労働条件の緩和に、自らが最大限の努力を行うべきです。