保育制度の規制緩和(市場化)に危惧
- 2009年01月28日
国の規制改革会議や地方分権推進委員会が、社会保障制度改革の最大のターゲットとして保育制度の規制緩和を目論んでいます。
厚生労働省社会保障審議会少子化対策特別部会では「新たな保育サービスの仕組み」を検討し、この2月に結論を出す予定となっています。
この中では、保育の規制緩和と市場化が大きな検討課題となっており、日経新聞では「子育て支援のために認可保育所と利用者との直接契約制度の導入や入所基準・施設基準の緩和を求める」という保育への企業参入を促進させるような内容となっていたようです。
東京都では、石原知事がその先駆けとして、保育への企業参入の手法として01年度から「認証保育制度」を導入しています。
認証保育園は開設コストや運営コストを低く抑えるために、①園庭は不要(認可保育園は必置)②有資格者は職員定数の6割以上で可(認可保育園は全員有資格者)③施設基準は園児一人当たり2.5平方メートル(認可保育園は3.3平方メートル)となっており、逆に国からの支援は無く保育料は割高となっています。
東京都では、この認証保育園に約1万3,000人ほど通園していますが、この企業運営の認証保育園において相次いで不正が発覚しました。
架空の職員を名簿に記載し、開設準備金や運営費補助金を不正に受け取った「じゃんぐる保育園」、同じく不正受給した「小田急ライフアソシエ系列の保育園と子育て相談業務」、都内等で保育園など約30箇所を営業していた「エムケイグループ」では突如全園を閉鎖し、父母への説明は閉園当日等々、企業の不正や無責任さが浮き彫りとなりました。
子供の未来に多くの影響を与える幼児期を、子供の発達という視点を持たず、物を預かるような感覚で市場原理の導入を検討している少子化特別部会は、国を支える子供のことを本当に考えているのでしょうか。
また、同じ部会で保育のバウチャー制度(公が一定の保育サービスに使用できる利用券を配布し、利用者が不足分を個人負担して保育園と直接サービス契約を行う制度)の導入を検討しています。
これが、導入されると、所得によって保育に格差が生まれることになります。お金がある家庭の子供は保育士の配置や保育内容が厚くなり、余裕の無い家庭の子供は、逆に薄くならざるを得ないということになります。
子供を金儲けの手段にしようとしている経済界。
倫理観の欠如した市場原理主義はもうたくさんではないでしょうか。