値上げに悲鳴
- 2022年09月05日
円安が進み、ついに140円台に突入しましたが、ここに至っても政府や日銀は何か手を打つという気配を見せません。
3月から6月までの3ヶ月間で約20円もの急速な円安となり135円を超えようとしたとき、それまで強気に「円安は輸出産業に優位に働き、日本経済に全体としてプラスになっている。」とか、「家計の値上げ容認度も高まってきている。」と、トンチンカンな強がりをい言っていた黒田総裁が、経済専門家や国民から非難の声が起こると、舌の根も乾かないうちに、「最近の急激な円安進行は経済にマイナスで好ましくない。」、「値上げ容認発言は適切では無かった。」と前言撤回をしています。
しかし、だからといって何か解決のための手立てを講じると言う気はさらさら無く、「憂慮している。」、「このまま推移を見守る。」と述べるだけで、岸田氏も黒田氏を追認して手を打たず、自らの経済政策である「新しい資本主義」の中身は今も曖昧模糊として明らかではありません。
一方、米国や欧州では中央銀行が金利の上昇を今後も続ける可能性があり、円売り、ドル買いが続くことになるでしょう。
そうなれば、物価は更に上がり続けることになります。
既に6月から商品の値上げが著しくなり、7月8月そして9月も新たな商品が値上げに踏み切りました。
各企業は、1ドル=140円までは見越していたかも知れませんが、これ以上の円安が続けば、一度値上げした商品も再値上げに踏み切らざるを得なくなります。
昼食でお世話になる飲食店の方々に原材料が値上がりして大変でしょうと聞くと、「8月に値上げをしたのに10月からまた値上げとはなかなか言いづらい。」と話しています。
それだけギリギリの商売をしています。
私たちも、すでに外食での昼食は1,000円を覚悟しなければなりません。
経済ジャーナリストの井上学氏は<企業が追加値上げを打ち出す可能性が出てきた。市場では年内に1ドル=150円を突破し、160円に迫る円安が囁かれている。気がかりなのは、鋼材の価格上昇だ。鉄は建材から日用品まで広く使われており、車向けに限らず、あらゆる鉄製品の価格が大幅に上昇する。円安も含めて年末に向けて大きな値上げの波がやって来る可能性が有る。>と述べています。
原油価格の上昇で、石油を原材料とするあらゆる製品が値上げとなりましたが、今度は鋼材にも波及してくるようです。
岸田氏は、国葬の説明、旧統一教会問題、コロナウィルス感染症対策、原発の新増設等に追われ、経済には全く手が打たれていません。
市井では、フードバンクや子ども食堂に集まる食料の寄付が大幅に少なくなってきています。これから年末に向けて更に厳しくなれば、行き倒れや飢餓が増えていく事に繋がります。これが成熟した先進国の日本の姿といえるのでしょうか。
岸田氏は、現状を把握しているのか疑いたくなります。