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健康ゴールド免許

  • 2016年11月03日

 自民党の若手グループ、小泉進次郞議員が委員長代行の「2020年以降の経済財政構想小委員会」が「人生100年時代の社会保障へ」と題した2020年以降の社会保障のあり方に関する提言を発表したと「日刊ゲンダイ」に掲載されていました。

 そして、その提言の目玉の一つが「健康ゴールド免許」なるものです。

 中身は、定期検診などで健康管理に努めた人の医療保険自己負担を3割から2割に引き下げるというもの。

 3年間無事故だったら、通常より2年間免許更新講習が延長できるという、自動車免許証のリメイク版というわけですが、交通違反と疾病を一緒のレベルで考えていることに疑問を持たざるを得ません。

 交通違反は、自らが法令を遵守していれば防げるもの、一方、疾病は自らの努力だけでは防ぐことの出来ないリスクを抱えています。

 確かにいつも健康診断を受けたり、年に2回ほどの人間ドック・2年に1度の脳ドックを受けて、なおかつ栄養やカロリーバランスに配慮した規則正しい食事、酒や煙草をたしなむことなく、ジムに通って適度な運動やスポーツを楽しみ、十分な休養と睡眠を取り、悩みなどを持たずに精神的な安定を保ち、廻りの人間関係を良好に維持したとしても病に罹る方はいます。

 そして、これらのことが出来るのは、いわゆる富裕層の方々ではないでしょうか。

 提言では、「現行制度では、健康管理をしっかりやってきた方も、そうではなく生活習慣病になった方も、同じ自己負担で治療を受けられる。それでは、自助を促すインセンティブが十分とは言えない」と、問題点を指摘してます。

 非正規では、会社の健康診断の対象から外され、低所得であるが故に、具合が悪くても勤めを休むことが出来ず、市販薬を買うこともためらい、自己負担の重さから病院での受診さえも避けてしまうことがあるなど、自らの健康管理は富裕層のようにはいくはずもありません。

 さらに、遺伝子的な要素でガンが発症する人、生まれつきの障がいや病を抱えていたり、発症の仕組みが判らず治療方法も確立されていない難病に苦しむ人、国や企業が引き起こす公害など、自分の努力だけではどうにもならないことがあります。

 進次郞議員達は、この現実をしっかりと受け止めなければなりません。

 所得だけではなく、健康にも格差を付けるという考えは、悪魔の所業です。

 自民党は全てに対し自己責任の「自助」が一番目であり、次に家族や知友人による「共助」を求め、国や自治体の「公助」は最後の最後と位置づけています。

 お互いが助け合うためにお金を出し合う「保険」という制度は近代社会の知恵であり、「保険」に「税」を組み合わせた社会保障の基本は「公助」であり欠くことの出来ない社会制度です。

 自民党のホープと言われている進次郞議員も、しょせんは父の純一郎氏と同様に富裕層第一の「新親自由主義」を、そして、安倍晋三と同様に「自己責任」を求めるのならば、次代を託すに足る人物とはいえません。


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