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備蓄米放出で?(ブログ3836)

  • 2025年02月15日

 政府が、備蓄米21万トンを随時放出することを決定しました。

 思い起こせば、昨年の夏に起きたコメ不足。スーパーにコメがなくなり、その後も値段が高騰、なにより、肝心のコメが店頭に並ばなくなってしまったことから、多くの国民が備蓄米の放出を望みました。

 しかし、この時の江藤農水相の言葉は「もうすぐ新米が取れる。米不足は一時的なもの」と歯牙にもかけませんでしたが、その後、新米が出回ってからも消費者の前に出てくる米は非常の高値で、食生活の圧迫が今も続いています。

 江藤農水相は昨年の発言を後悔し、今回の備蓄米放出の判断をしたと話していますが、備蓄米を放出しても、米の高騰が収まるかと言えば、ほとんどの関係者が懐疑的に見ています。

▼まず、コメの生産量は昨年679万トンで、前年より18万トン多く収穫されていましたが、そのうち農協等の集荷業者に納入されるのは216万トンで昨年より21万トン少なくなっています。つまり、そのことによって農協などがコメの卸売業者に売買する「相対取引価格」が引き上げられ、必然的に小売業者の価格は高騰してしまいます。

▼今までも農家が消費者と直接売買をする「直販」が年々増加していましたが、米不足から注文も増え、その結果農家は在庫を増やしてしまい、その結果、集荷業者に渡るコメの量は減少してしまう。また、直販の引き合いが多くなれば値段も高騰していきます。

▼集荷業者から買い付ける卸売業者は、投機目的に在庫を増やし、小売業者への蛇口を細めます。そして需要が多くなれば当然供給する値段は高騰します。

▼インバウンドも多く来日し、日本食を求める外国人が増えていることから、コメを多く使用する外食産業は、品切れを防ぐために在庫を多く確保します。多少の値段の高騰は価格転嫁が出来ると判断して、或いは、今の値段を維持するために在庫を多く抱えることから品薄に拍車がかかり、値段が高騰していきます。

 さて、今年の秋は豊作になってコメの値段が落ち着くのかどうかは誰にも分かりません。

 しかし、そうなれば備蓄米を放出しても、昨年から今年の事が学習能力として心理に働き、先ほどの「▼」それぞれの行動とその結果の値段の高騰が落ち着くとは、ほとんどの関係者は信じないでしょう。そして一度高値となったコメの値段は、そうそう簡単には戻りません。なにせ、その値段でも消費者は購入するでしょうから。

 さて、これらの原因を作ったのが江藤農水省では無いでしょうか。

 備蓄米の放出について、官僚の入れ知恵があったかも知れませんが余りにも原則主義を貫いてしまったこと、新米が出るから大丈夫と高をくくっていたことが今の現象を招いてしまいました。

 放出予定の21万トンが出回っても値段が落ち着かない場合、消費者である国民だけが割を食ってしまいます。まさに農水省と農水相の失政となってしまいます。石破氏は、これからもこの方に日本人の胃袋を預けることに躊躇はしないのでしょうか。


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