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全数把握の見直し

  • 2022年08月26日

 コロナウィルス感染症新規感染者数の「全数把握」について、賛否両論となっています。 詳細にわたって検討を深化させた結果とは思えず、付け焼き刃のパッチワークで、整合性の取れない内容が医療関係者から批判される一方、自治体に「全数把握」の判断を丸投げしたことで、東京都や大阪府だけでは無く道の鈴木知事はじめ各県からも不満の声が寄せられています(岸田氏の聞く耳は官僚の言葉だけ?)。

 保健所政令市と広域保健所体制を敷く都道府県保健所の判断に相違が出る場合も出始め、更に道以外では、隣県との調整や県境で多人数のクラスターが発生した場合などを想定すると、混乱は必至だろうと思います。

 今回の「全数把握」が中途半端なのは、全数は把握しないけれども、感染者の総数と、年代別の内訳は引き続き報告が求められる事になりますし、医療機関から都道府県などにファックスやメールなどで直接送信するようにすれば、保健所の手間が省けますが、今回の見直しは保健所に届けさせるという枠組みが残されており、まったく意味がありません。

 なにより、岸田氏が首相就任時に示した「コロナ対策の全体像」に<感染拡大時には国の責任で病床確保の具体策を講じる>とありましたが、現実にはどうでしょう、病床は足りない、検査キットも足りない、医療従事者も足りないと、「ないないづくし」となっています。

 これまでの教訓は、①検査キットを充実させ、いつでも何処でも手軽に検査が行える。

 ②発熱を確認したら、まず発熱外来で診察を受ける、そのために発熱外来を増やす。

 ③重症患者と中等症患者、軽症患者それぞれ独自の専門病床を整備する。

④野戦病院のような後方支援病院を用意する。等では無かったのか。

 これらの事が、全く生かされていないというか、第7波を軽く考えていたのか、最悪の事を考えた事前の準備がなされておりません。

 岸田氏は、今後、どんなに感染者数が増えても「蔓延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」を出す気はありません。

 それは、コロナに関する失政を意味し、外出自粛の要請解除を中心とした経済シフトによる「都道府県割り」の継続や「海外観光客の入国拡大」に水を差すことになりますし、なにより経済界から見放されることを避けたいからに相違ありません。

 「過ちを改むるに憚(はばか)ることなかれ」という言葉は、岸田氏の頭の中にはないのです。

 「全数把握」の見直しが、今後どのような結果を招くのか、過ちを、指摘されながらも改めようとせずに突き進む宰相、国民にとって怖い存在です。


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