公費負担の根拠(ブログ3332)
- 2023年09月13日
半導体製造のラピダス社が、27年の本格稼働時には日量約4万㎥の水を千歳市の下水道処理場に排出する事が明らかになりました。
千歳市の下水道処理場の処理能力は日量6万4200㎥で、現在は市内から排出される日量約5万㎥の下水を処理しています。
しかし、ここにラピダスの日量約4万㎥が加われば、当然の様に処理能力を超えることになり、千歳市は新に処理能力の増強を図らなければなりません。
先行して台湾の半導体メーカー「TSMC社」を誘致して現在建設中の熊本県では、約30億円の費用をかけて下水道処理施設を増設しています。
処理施設だけ増強すれば済むわけでは無く、そこまでの下水道管の敷設工事も必要になってきます。
熊本県では、工場から処理場まで約4.8kmですが、千歳市の場合は直線で約7kmの距離となりますから、下水道処理場の増設と合わせて^熊本県以上の費用が必要になってくることになるでしょう。熊本県では工場立地の菊陽町で負担することは無理なので、当然県が全面に出て事業を進めることになると思います。北海道の場合も、千歳市は道の協力を求めることになるでしょうから、今後の試算も含めて政府・道・千歳市の協議が行われることになるでしょう。
半導体の国内製造は、政府が国家プロジェクトに位置づけていますから、当然、政府からの財政支援が基本となら無ければなりません。
さて、「国家プロジェクト」とは何なのでしょうか。
単純に、<半導体メーカーが国内に工場を建設して半導体を製造し、その製品を世界中のIT関連会社に販売をする。>と考えれば、単なる民間会社の経済行為であり、ここに公費をつぎ込むという行為は理屈が立ちません。
公費をつぎ込むならば、事業に関わる政府と民間企業の位置づけを明らかにして法を整備しなければなりませんが、今の段階では特措法を含めた法律の話は聞いたことがありません。
同様に道が、民間企業に公費をつぎ込むにあたっても同様ですが、今は理屈が付かない公費をすでに支出していますし、今後も大きな額の公費がつぎ込まれることになります。
下水道処理に関わるだけでは無く、大量の水を使用することから、その供給施設、工場までの道路や交通インフラ、人材育成に関わる教育機関の整備など諸々の費用が必要で、政府はその必要額は2兆円とも3兆円とも話しています。
何の支出根拠も無いまま、国家プロジェクトと言うだけで公費を湯水のようにつぎ込んでいますし、これからもつぎ込むのでしょう。
原発も同様に、国家プロジェクトとして大量の金を政府と電気事業者がつぎ込んでいます。政府は税金を、そして電気事業者はその負担を電気料金に上乗せしながら。
道の幹部職員にラピダス社に道の公費をつぎ込む法的根拠を尋ねたら、誰も答えを示す事が出来ませんでした。さて、鈴木知事、貴方なら道民に明確な根拠を示すことが出来ますよね。