内容検討も薄い10万円
- 2021年12月09日
各党の代表質問が終了しましたが、いままで長い間の安倍氏や菅氏の国会答弁、中でも代表質問の答弁は、相手を挑発し、時にはせせら笑うように上から目線での答弁が中心でしたから、穏やかに答弁する岸田氏が新鮮に映りました。
そうは言っても、質問に含まれた野党の提案には決して妥協すること無く跳ね返すという手法は、きっちりと踏襲されているのも事実です。
その中にあって今回のアキレス腱は、18歳以下への10万円相当の給付金に関わるクーポン券の膨大な事務委託費の問題です。
地方自治体の首長は5万円分をクーポン券にする事に批判的で、全て現金にして欲しいと言う声が多く、野党各党もその事を追求、岸田氏もついに「地域事情によって全て現金での支給も可能とする。」と柔軟に対処する答弁を行いました。
これがあの安倍氏や菅氏だったら、1歩も引かない答弁だっただろうと思います。
さて、問題は、この18歳以下への10万円支給ですが、当初は経済的困窮世帯への対策だったはずですが、支給対象を児童手当支給世帯としたことから方向性が変な方へ向き始めました。
児童手当の目的は「保護者に児童手当を支給することで、生活を安定させ、健やかに成長するのを支援する。」ことで、世帯収入960万円以下とは、世帯主他扶養家族3人の場合、つまり妻以外子どもが2人の場合の基準です。
支給手続きを安易にするために児童手当支給世帯としましたが、当初の困窮世帯の子ども達への支援という大義がすっかり薄れてしまいました。
本来ならば、これから年末年始を迎え、更に厳しい冬を越すために非正規労働者や、非課税手前の困窮者向けの政策であるべきではないでしょうか。
夫婦供稼ぎで1,800万円の年収があっても条件次第では支給対象となるという矛盾を包含した、まさしく内容を吟味しない愚策が実行されようとしています。