円高・株安
- 2016年05月06日
円高の歯止めがかかっていません。
4月11日のブログでは、為替が1ドル109円の円高になり、ほとんどの大企業が1ドル117.46円に想定していたことから、トヨタで1円あたり300億円の損失、8円の円高だから約2,400億円の損失となるのではないかと書かせていただきましたが、その後、円高は一向に治まらず、米国財務省が日本の通貨政策を「監視対象」にし円安への誘導を牽制しましたが、それを受けても日銀は打つ手無しで介入の兆しもありません。
市場は、円高が企業の採算を悪化させ、国内景気の低迷を招くのではないかという観測から株価が下落し、東証1部上場銘柄の9割が値下がりし、日銀の金融政策が何も対策を講じない事から、銀行や保険の金融株も軒並み売りに出されたようです。
主な企業は、17年3月期のレートを110円と想定しているために、このままの円高が進めば営業利益に1社当たり数百億円単位のマイナスが避けられなくなってきます。
そして、円安によって想定以上の外国人観光客が日本を訪れていましたし、訪日客の消費も右肩上がりの高水準を示していましたが、円高によって外国人の消費にマインドにも影響が出てくるのは必至です。
この面でも、安倍晋三の経済政策(アベノミクス)は逆の方向に向かい始めています。
大企業は、この間の円安・株高で「我が世の春」を謳歌し、各社の内部留保も空前の額に至りましたが、中小の輸出業者は内部留保どころかやっと体力が回復したところでの円高・株安で、今後の不透明な動きへの対処に不安を隠しきれないものと思います。
日本は連休ですが3日の海外市場では、1ドル=105円台半ばとなったようです。
このままでは、1ドル=100円を切ることもそんなに時間がかからないかもしれません。
大企業の生産部門は海外の工場に拠点を移すことを模索し始め、円高の影響を最小限にしようとしています。
そして、為替は、TPPにも大きな影響を及ぼすことになります。