再交渉と再協議
- 2016年11月12日
昨年10月5日に最終合意をし、今年2月4日に署名式が終えたTPPですが、米国は勿論のこと、9ヶ月以上経った今でも加盟12カ国で国内手続きが終わっていません。
日本・・・・・衆議院通過、参議院特別委にて審議が始まる
米国・・・・・新大統領に当選したトランプ氏は就任後にTPP離脱を表明する予定
カナダ・・・・合意後に政権交代し、改めて協定内容を精査中
マレーシア・・1月の臨時議会で承認するも、関係国内法は成立しておらず
豪州・・・・・議会で審議中、承認時期は不明
ニュージーランド・・豪州同様
チリ・・・・・国内手続きの目立った動きは見られない
メキシコ・・・ 〃
ペルー・・・・ 〃
ベトナム・・・ 〃
シンガポール・ 〃
ブルネイ・・・議会にかける必要はないが、目立った動きは見られない
と言うのが各国の状況です。(東京新聞記事参照)
安倍晋三が国会において、「再交渉はしない」と発言していますが、当然、最終合意の内容について再交渉をすることになれば、交渉は一からのやり直し、各国がそれぞれの国会で注文を付けられたからと言って、再交渉出来ないのは当然のことと思います。
問題は、協定発効7年後に「再協議」が出来ることです。
協定には、「農産物や工業製品などの関税の取り扱いについて、協定発効後、交渉参加12カ国のいずれかの国から要請があった場合には、関税の撤廃時期の繰り上げに関して、再協議を行う」規定が盛り込まれています。
この中には、輸入量が急激に増加した場合に一時的に関税を引き上げる事が出来る「セーフガード」も盛り込まれていますが、関税撤廃時期の繰り上げが中心であることに変わりはなく、農水産物の関税の更なる引き下げを求められる可能性が有ります。
「再交渉」と「再協議」、似たような言葉で戸惑ってしまいますが、問題は、安倍晋三が判っていながら「再協議」を「再交渉」と答えている可能性が強いということです。
今まで、数多く安倍晋三の二枚舌を経験した私たちは、国会議員も含めて、この言葉使いに注意をしなければなりません。
安倍晋三の自民党総裁任期は2018年(平成30年)9月まで、3期9年に自民党が総裁任期を延長した場合2021年(平成33年)9月までです。
2020年の東京五輪を自らが総理大臣で迎えたいと言うのが望みのようですが、仮に2017年(平成29年)にTPPが発効したとしたら、7年後の「再協議」の時期は2024年(平成36年)で、自らの任期は終了しています。
従って、自分の任期内に「再協議」はありません。
今、国会で「再交渉(再協議)」は行わないと言っても、自分の時代ではないので、責任は無いこと言うことになります。